シローさんは料理が楽しい!
今私が大好きなドラマのひとつは金曜の夜やっている『昨日何食べた?』です。最初このドラマを知ったのは、本屋のレジ横に置いたあったコミックの原作を偶然見かけたからです。表紙に描かれたレシピも、どこででも買える材料と簡単な調理法で、すぐに作れそうなものばかりなのが気に入りました。たしか白抜きのイラストで「今回のレシピはこれです」とレシピ名が4つぐらい書かれていたような気がします。自分で簡単に作れてしかもおいしい料理を捜していた私は一目ぼれしてすぐに買ってしまいました。その時は、スーパーのお総菜にも飽きが来て、しかも自分の作る味にも嫌気がさしていたので、何か新しいレシピが欲しかったのです。
さっそく家に帰って読んでみると、シローさんと健ちゃんはゲイのカップルで一緒に住んでいることを初めて知りました。シローさんは弁護士なのに、スーパーの特売品で安くて美味しいものを作るのが大好きで、しかも料理上手な45歳の男性です。仕事で疲れているはずなのに、スーパーで売れ残った野菜や肉で毎回見ているだけでも美味しそうな料理を楽しそうに作ります。シローさんにとって料理はいい気分転換になっているようで、昼間仕事で嫌なことがあっても忘れられるみたいです。シローさんの辞書に「めんどくさい」という言葉はありません。朝出かけるときにすでに頭の中には、帰りに買うもの(特売品)と、作る料理がはいっています。
「楽しそうに料理すること」を、私はしばらく忘れていたような気がします。自分にとって料理は義務みたいなものだから、しなければならないことであって、はっきり言ってあまり楽しくはないのです。本来、人間にとって「食べることは生きること」でその逆もまた言えます。食べなければ、生きるエネルギーも生まれてこないのですから、今日何を食べるかは重要事項ですが、忙しさに紛れてそれを忘れて生きています。シローさんの行動を見ていると、こんなわたしも無性に料理がしたくなりますし、やっぱり料理は楽しいものだと思わせてくれるのです。料理はゼロから作品を作るような創作活動のようなものと言ってもいいかもしれません。
健ちゃんはほめ上手!
料理が出来上がって二人で食べるとき、健ちゃんは「この料理は酢が隠し味だね。」とか「この二つの料理は相性ピッタリだね。」とか「あと引くうまさだね。」とか言って、シローさんへのほめ言葉を忘れません。それだから、シローさんも、「そうか~?」とか言ってまんざらでもなさそうで、ふたりの会話も弾んで楽しい食卓が出来上がります。「料理が楽しい=楽しい食卓」ではありませんが、一緒に食べる人しだいで楽しくもなるし、最悪にもなるのが食事だと思います。いつもシローさんのことが気になって嫉妬ばかりしている健ちゃんですが、本当は女性のように細やかな気遣いが出来るやさしい人です。シローさんに「後片付けは俺がやるからいいよ。」と声をかけるのを忘れません。
羨ましくなるほど二人の食卓は幸福に満ちていますが、実際の家族の場合はどうなのでしょう?他人の家のことを聞いてみたことはないのでわかりませんが、それぞれの家の事情もあるので想像に任せるしかないでしょう。
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