人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

無事にホテルの部屋に入れた

悪戦苦闘して、ホテルの部屋に落ち着く

 昨日の続きを書こう。予約したホテルの入口の隣りにある店の女主人と一緒に、店から出てホテルの入口の前まで行く。壁に取り付けられているセキュリティシステムの数字のキーを彼女が押していく、283070。それがこのホテルでの私のセキュリティコードで、すぐには開かなかったが、二度目に試すと、カチャと見事にドアが開いた。「さあ、早く行きなさい」と彼女が私を促すので、とりあえず中に入ってみる。中はがらんとして、だだ広くて、何もない空間だった。だが少し歩いて行くと、右手に階段があったので、どんどん上がっていき、上り切ったところに別のフロアーがあった。何も知らない私は、普通にホテルにあるようなレセプションを探し回ったが、それらしきものはないし、人の姿もない。この時の私は、やっと中に入れたのでほっとしていたが、肝心の自分の部屋がどこだかわからないし、どう探せばいいのかもわからない。未知のホテルにスタッフが誰もいないのは、経営者は人件費が節約できていいのだろうが、泊まる側としてはどうなのだろう。「何かあったら、この番号まで連絡を」と書かれてはいるが、本当に緊急の時に対処してくれるのだろうか。これを書いている今なら、そんなことをあれやこれやと考える余裕があるが、この時の私には考えも及ばないことだ。

 探すのに疲れた私は、諦めて戻ることにした。また隣にある店に行って、わからなくてダメだった旨を話すと、ひとまず椅子に座わって落ち着くように言われる。私は頭の中で、こんな時の最善の対処法を懸命に見つけようとするが、いい考えが浮かばない。すると、そこへ若い女性が二人店にやって来た。彼女たちは店の女主人と顔見知りらしいく、私が困っていることを知って驚いた様子。二人のうちのひとりが、再度ホテルに電話して、ホテルのシステムの詳細を聞いてくれる。その後、丁寧に英語で説明してくれるのだが、残念なことによくわからない。「まず右へ行って、階段を上り、それから右へ、次は左へ」などと言われても、何のことだかわからない。私が知りたいのは部屋番号なのに。

 一緒に行ってくれるように頼む私に、彼女は「これから用があるし、セキュリティの問題があるので行けない」と断った。だが、不安げな私を見かねたのか、スマホの翻訳アプリを使って、私と会話しようと試みた。アプリの日本語は完璧なものではなかったが、言いたいこと、と言うかそのニュアンスだけは伝わった。当然のことだが、微妙なニュアンスの違いは伝え切れてはいないのが現実だった。今まで付き合ってくれたことを感謝し、お礼の言葉を述べて、私はホテルの中に入った。階段を上ると、もう一つドアがあって、よく見ると、そこにもセキュリティシステムが設置され、数字のキーが付いた文字盤があった。とりあえず、自分のコードの283070を入力してみる。するとドアのロックが外れて中に入ることができた。

 中に入ると、それぞれのドアに番号が付いた部屋がたくさんあった。どうやら1番から20番ぐらいまであるようだった。どのドアにも数字の文字盤が付いていたが、さて、部屋番号もわからないのにどうしたらいいのか。だが、ふと、先ほど店で女主人が連呼していた「ウノ、ウノ」という言葉を思い出した。「ウノ」はスペイン語で数字の1という意味だった。それで、もしかしたら、私の部屋は1番なのかもしれないと判断し、試しにコードを入力してみると、なんと幸運なことにドアが開いた。部屋に入ってすぐのところにカウンターがあって、そこにカードが2枚重ねておいてあった。これで、すべての謎が解けた。要するに、客室にはカードでも、セキュリティコードでも、どちらででも入ることができるのだ。

 今改めて、予約確認書を見てみると、”重要情報”という欄にこんな記述があった。「チェツクインはオンラインで行い、部屋に入るためのコードは電話で連絡する旨をご承知おきください」。浅はかで能天気な私はこの記述を見逃したばかりに、無駄に悪戦苦闘し、周りの人を巻き込んで迷惑をかけてしまった。いずれにせよ、今後はレセプションに誰もいない無人のホテルが増えるだろうから、事前に確認するのを怠るととんでもない目に合うかもしれない。そのことを肝に銘じる必要があると痛感する経験だった。

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