人生は旅

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インターネットの限界

はてなインターネット文学賞「わたしとインターネット」

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インターネットは万能、でも限界もあって

 初めての個人旅行でホテルに泊った時、利用したのはクーポン券でした。ガイドブックの地球の歩き方に載っていた旅行会社で購入したものです。当時はガイドブックのホテル紹介のページには住所と電話番号、FAX番号しか書かれていませんでした。まさか国際電話をするわけにもいきません。それに手紙では時間もかかるし、じれったいではありませんか。それで、手っ取り早く、旅行会社で前払いでクーポン券を購入することにしたのです。ただ、それには問題もあって、大都市のホテルしかクーポン券が買えないのです。この時の旅行先はイタリアでしたが、ローマやフィレンツェ、ミラノなどの大都市はホテルリストがありました。でも地方都市であまり旅行地として有名でないとところはリストには載っていないので、自分で何とかするしかありません。

 そんなとき、クレジットカードのサービスでトラベルデスクというのがありました。当時持っていたセゾンのアメリカンエキスプレスのカードのお知らせで、ホテル予約のサービスがあることを知りました。考えてみると、当時は何と悠長で親切な時代だったのでしょう!電話をしてみたら、どこでも好きなところを予約してくれるというではありませんか。これは是非ともお願いしなければとお言葉に甘えて、リグリア海に面した海の見えるペンションとモンブランを見に行くために泊る山のホテルをリクエストしました。実際行ってみたらペンションは英語が通じたので問題なかったのですが、山麓のホテルの方はイタリア語とフランス語しか通じませんでした。それに、行って見て仰天したのですが、予約が入っていないようでした。そう言えば、カード会社の係りの人が英語が通じないので困りましたが、何とか予約ができました」と嘆いていたのを思い出しました。

 でも、実際はホテル側には話が通じていなかったわけです。ようやくどうしてこんな事態になったのか理解できたのですが、かと言ってすぐに引き下がるわけにはいきません。ホテルの女主人は困惑して冷たい態度でこちらを見つめています。その時一人の老婦人が通りかかり、なぜかホテルの主は一転笑顔になりました。緊張の糸が解れたかのように、「ちょうど部屋が空いているから泊まってもいい」と私を受け入れてくれましした。幸運にも路頭に迷わずに済んだのです。

 しばらくすると、どこのホテルもURLを開設してインターネットで直接ホテルに予約を入れることができるようになりました。その際の信用保証はクレジットカードで、全世界共通のお約束のようなものだと信じて疑いませんでした。ところが、何にでも例外というものがあって、国によってはそんな常識は通用しないのだということがわかりました。例えば、スロバキアに旅した時のこと、もちろん列車のチケットはインターネットで入手ですが、ホテルが見つかりません。厳密に言うと、ホテルのサイトにはアクセスできるのですが、デポジットというのが現金でなければならないのです。メールの文面にはスロバキア語で銀行の口座番号と入金の期限が書かれてありました。入金が確認されない限り予約は無効と言うわけです。2,3ホテルを検索してみたのですが、クレジットカードは彼らにとっては信用ならない物らしいのです。結局、私が泊まることができたのは現金払いで食事なしのホテルでした。当時の私はインターネットでのホテル予約に限界を感じてしまったのです。

 今から考えると、まさに笑い話としか思えない出来事ですが、当時は深刻に受け止めていました。スロバキアだけでなく、次に行ったクロアチアでも歓迎はされず、ホテルの支払いは現金でした。また、ロシアでも同様でモスクワやサンクトペテルブルクなどの大都市では何の問題もありませんが、地方都市となると、銀行口座への入金を要求されました。現代はインターネットで何でもできる時代なのですが、できないこともあります。それはロシア国鉄のサイトから自由にチケットを買うことで、残念ながら一度もできた試しはありません。その理由は最後の最後でクレジットカードが弾かれてしまうからです。どうやらロシア人が持っているカードでないとOKが出ないようです。VISAでもMASTERでもダメなので、エストニアにある代行会社のサイトで買うようにしていました。幸運にも直接買うのと大差ない値段で買うことができるので何の問題もありません。

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