人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ウィーンへのフライト

各航空会社を比較してみると、驚きの真実が・・・

 昨日何処に行ったらいいかわからないと書いたが、思い当たる場所はちゃんとあった。何を考えていたかは定かではないが、2月号のNHkのドイツ語講座のテキストを買っていた。どうしてドイツ語なんかのテキストを買ったのか、自分でも怪訝に思うが、もしかしたら、行くかもと予想したのかもしれない。実を言うと、私は今英語に加えて、スペイン語の勉強もしていて、いつかは役に立つと信じていた。つまり、スペインはもう行けないが、中南米には行けるし、行ってもいいと考えていた。だが、現実は私の予想を遥かに超えていて、到底個人旅行は無理だった。テレビで何回も見て憧れていたコスタリカも、今では最も危険な国のうちのひとつになっていた。どうやらスペイン語を使う機会はないようだ。どうしたらいいのだろう、というのが今の正直な気持ちだ。

 へこんでいても仕方がないので、気持ちを切り替える。以前ベルリンの由緒あるお屋敷を改装したホテㇽで見たクリムトのレプリカを思い出した。4階建ての建物にある階段の踊り場の壁はミュシャクリムトの絵画で埋め尽くされ、まるで美術館さながらの雰囲気だった。私は一切エレベーターを使わず、わざと階段を利用して悦に入っていた。そんな経験から、密かにクリムトの絵を見たいなあという願望を抱いていた。もっともそれはどうしても見たいという、差し迫ったものではなく、見る機会があればぜひ見たいと言う極めて消極的なものだった。その機会が今ようやく私に訪れたようで、ヨーロッパという選択肢で探すと、もうそれ以外に思い浮かばなかった。ネットで検索してみると、クリムトの絵画をみられる美術館はウィーンにいくつかあった。これで、ウィーンに行く目的はちゃんと確保できた。

 それから、死ぬまでに行くべき場所として挙げられるのが、ポーランドにあるアウシュビッツユダヤ人収容所で、過去に一度行こうとしたことがある。それもウィーンから列車で目指そうとしたが、夜行列車しかなくて怖気づいた。当時は睡眠薬入りチョコレートだの、居眠りをして目が覚めたら、列車強盗に貴重品を取られていたという数多くの噂話に事欠かなかった時代だった。今から15年ほど前だから、おそらく現在では高速列車がウィーンから出ていることだろう。先日もある企業のCEOがやっとアウシュビッツを訪れることができて安堵したとコラムに書いていた。実際現地に行ってみると、”百聞は一見に如かず”で感慨もひとしおのようだ。絶筆に尽くしがたい複雑な思いに駆られて、呆然としてしまうという。

 それはさておき、ウィーンへどうやって行くか、どの航空会社で行こうかとなったとき、またネットの出番だった。いつも利用しているフィンランド航空でも行けるが、今度は別の航空会社を利用してもいいなあとふと思った。検索してみると、HISのサイトで航空会社の比較ページというものがあり、利用者からの口コミが多数載っていた。それらを閲覧して、驚いたのは、ロストバゲージの多発と、出発6時間前に予約を取り消されてしまうような憂き目にあうことも珍しくないことだった。また、皆さんが特に強調されていることは、エンターテインメントが貧弱なことだった。エールフランスしかり、ルフトハンザしかり、KLMも、オーストリア航空も、日本語で楽しめる映画やドラマがほとんどないことに皆不満だった。お客を14時間以上も乗せるなら、退屈しないようなサービスを提供してしかるべきだろうと言いたいのだ。至極当然の要求である。

 機内のあんな狭い空間に長時間閉じ込められて、どうしようもなく退屈で、時間がつぶせない時を過ごさなければならないのは地獄である。その点において、私は幸せ者で、海外旅行初心者の時を除いて、とても満ち足りた時間を過ごすことができている。もちろん苦い体験も多々あって、ウィーンにオーストリア航空で行った時、14時間のフライトで腰が痛くなり、とんでもない苦痛を味わったことがあった。着陸があんなに待ちどおしかったことは後にも先にもあの時が初めてだ。

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