人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

モンパルナスの教訓

現地に行ってみて、初めて分かることがある

 前回モンパルナスのホテルをどうにかこうにか予約できたことを書いた。正直言って、私はこのホテルの場所を自力で探せるのか自信が全くない。と言うのも、以前、モンパルナスタワーのすぐ側にあるホテルを予約して安心しきっていたら、現地に行って仰天したことがあったからだ。それはガイドブックに載っている地図は、おおざっぱで、当然のことながら無駄なものを省いているすっきりした地図だからで、それを鵜呑みにしたら、もはや”迷える子羊”状態になる。すぐ側にあるはずのホテルが、モンパルナスタワーを取り囲むようしている高速道路に遮られて、その姿を簡単には確認することができなかった。

 それで、街を歩いている人に聞けばわかるだろうと、尋ねてみたが、そんな楽観主義はものの見事に却下された。途方にくれたが、モンバルナスタワーの周辺を散々うろうろして、やっと自力でホテルを見つけることができた。なんのことはない、目と鼻の先にそのホテルはあった。なんでもそうだが、分かってしまえば、ああ、なるほどとなり、こんな簡単なのにどうしてわからなかったのだろう、と自分の馬鹿さ加減を嘆くのがおちだ。そうはいっても、あの場所を見つけるのは私のような異邦人にとっては難題なのも確かなのだ。まだ昼間だから、幸運だったこともあって、自力で見つけられただけのことだった。

 こう書いていて、ふと思うのは、なぜ外国には日本のような交番が無いのだろうかということだ。日本には必ず主要駅の出口や街中に交番が必ずあり、何度も助けてもらった経験がある。それに特筆すべきは、主要駅といえども、駅を出たらすぐにタクシー乗り場があるわけでは無いことだ。日本ではお馴染みの駅を出たら、タクシーが必ず待っていてくれる光景、あれがモンパルナス駅では存在しなかった。駅に行けばタクシーに乗れるというお気楽な気持ちは吹っ飛び、周りの人にタクシーに乗りたいのだがと訴えてみても、誰も知らないと言って相手にして貰えない。後からわかったことだが、タクシー乗り場は駅の真ん前ではなく、大通りの向こうの決められた場所にちゃんとあって、何台ものタクシーが待っていた。だが、新参者がその場所を見つけるのは少々ハードルが高すぎる。私などは駅の真ん前で途方に暮れたまま、どうしたものかと思案していたら、偶然通りかかったタクシーに救われたことがあった。

 誤解されるといけないので、書いておくが、私としては事前準備は怠りなかったはずだった。ネットで検索して、モンパルナス駅の情報を入手し、タクシー乗り場の場所の地図を印刷して持って行ったが、結果的にはそれは間違っていて、何の役にも立たなかった。タクシー乗り場の場所にしたって、今回はなんせ4年ぶりなのだから、変更されている可能性は高い。3年にも及んだコロナ禍の後ということもあって、混乱するだろうことは想像がつく。はっきり言って、今回は情報が集めにくいの一言に尽きる。だいたいが、翌日TGVに乗るために必須の便利な場所にあるホテルが予約できなかったのは正直痛い。ではどうするか、まずはパリのホテルに落ち着いたら、下見に行かなければならない。サンジェルマンから95番バスに乗り、モンパルナスへと向かう。地図を頼りに、いや経験から言って、磁石も必要だ。恥ずかしい話だが、地図と照らし合わせてみて、いったい自分が今どこにいるか、今自分はどの方角を見ているのかがわからない時があるからだ。するとたちまち不安になってしまう、そのために、安心するためにも方角を知るための磁石は必須のものだ。

 自分で精一杯の努力をしてみても、どうしても探せない場合は、頼るべきはタクシー運転手さんしかいない。なぜなら、彼らは街中の事情を誰よりも知っている人たちだからだ。以前は外国でタクシーに乗るのに抵抗があった私だが、絶体絶命の状態でタクシー運転手さんに助けられてから、彼らに対する考え方が180度変わった。

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