人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

僕はお金を使わずに生きることにした

今週のお題「買ってよかった2021」

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お金に支配されずに自由に生きるためには

 先日ふらっと本屋に立ち寄ったら、新刊書のコーナーに『僕はテクノロジーを使わず生きることにした』という題名の本を見つけました。著者はアイルランド人のマーク・ボイルという男性で、10年ぐらい前に世界中にセンセーションを巻き起こした人でした。彼は1年間お金を使わないで暮らすと言う実験を成功させたのです。その著書がこの『僕はお金を使わずに生きることにした』で、私も本の名前だけは知っていましたが、たいして興味を持てなかったのです。「まさか、この世の中でお金なしで暮らすなんて出来っこない」と思い込んで相手にしなかったのです。それほどお金が万能なのだと信じて疑わずに生きていました。目の前のお金を得るために自分を追い込んで、我慢して仕事をしていました。

 そんな私が今になって、なぜこの本を手に取って、買って読んでみようと思ったのか。それは、コロナの影響もあるのですが、食べる物も着るものもすべて、お金がなければ得られない生活になんだか疲れを感じ、疑問を持ち始めたのが理由です。だからひどくお金にこだわり、いつだって頭の中でお金の計算をしてしまう自分が何だか寂しい人間のような気がしました。これじゃあ、まるっきりを守れるのか。今までの給料が減っても何とかやって行くためにはどうすればいいのか、副業?投資?専門家はそんなことを提案するけど、何の特技もない、ずぶの素人にうまくやれるとは到底思えません。ではどうするのか、一番簡単で、誰にでもできることと言ったら、ズバリ生活の質を落とすことです。つまり生活をコストダウンして、少ないお金でも幸せに暮らす方法を見つけるのです。

 この本を読んで仰天したのは、想像以上に世界は無料の物で溢れているということです。人の物を失敬しなくても、無理やり奪わなくても堂々とただで手に入れる手段はあるのだと気付いたのです。著者が金なし生活を始めるにあたって、トレーラーハウスを手に入れるのですが、それもただでした。インターネットの不用品のサイトで検索したら、偶然要らなくて手放したい人がいたらしく幸運でした。ただ問題なのはトイレとシャワーが付いていないことでした。それで当然バスルームは外になるのですが、イギリスの凍るような冬の寒さにも著者は耐え抜いて、やがて待望の春がやって来ました。個人的には、もう少しバスルームに快適さが欲しいところで、何とかならないのかとも正直思いました。

 一番の関心事はどうやって食べていくのかということで、お金が無いのですから店には行けません。でもその点に関しては全然心配は無用で、自分の畑で野菜を育てて、毎日採りたての野菜を食べていました。彼はベジタリアンで肉や乳製品は食べないのです。それに彼の住んでいる場所は緑あふれる森に近く、野生の木の実やブラックベリーラズベリー等の果実もふんだんにありました。それに食料の入手の手段は他にもあって、それがスキッピングでした。スキッピングの意味はごみ箱を漁ることですが、残飯を漁る行為とは意味合いが違います。ここでの意味は工場や商店が廃棄したものを無料で貰ってくることです。

 私も最初はなんだか嫌な感じがしましたが、むしろどうしようもないことをしているのは棄てている当事者に他ならないのだと目から鱗でした。要するに彼らはまだ十分に食べられる食品、いいえ食品に限らず何でも毎日大量に捨てているのです。何カ所も回ると、綺麗にビニールで包装された食品のパックが手押し車に溢れんばかりになりました。とても自分だけでは消費しきれないので、それを友達や知り合いの家に配って歩きます。皆喜んで受け取ってくれるのですが、誤解しないでもらいたいのは、彼らはホームレスの人たちなどではありません。著者が注目されて取材に来た有名な新聞記者でさえ、廃棄されたジュースを差し出すと子供が喜ぶからと貰っていきました。

 なんだか世の中おかしい、まだ使えるものが当たり前のように捨てられていく。そんなどうしようもない現実を変えたいという衝動から始まったのです、金なし生活は。まだ食ベられるのに棄てなければならない、そんな理不尽な思いを抱いていたのは農家の人たちも同様でした。彼らも自分が精魂込めて育てた野菜を捨てることに嫌気がさしていました。だから彼は棄てられる運命にある野菜をなんとか有効活用できないだろうかと考えました。必要な人に配れば、無駄なお金を使わなくて済むのですから。お金に振り回されなくても、人生は楽しく幸せに送れるのだということを彼は見事に証明しました。とても彼の真似はできませんが、まだ使える物を捨てる人がいるのなら、それを必要とする人とマッチングすればいいという趣旨には大いに賛同しました。

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