人生は旅

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豚肉の思い出

今週のお題「肉」

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サラマンカにある「王のパヴィリオン」と市庁舎。NHKまいにちスペイン語テキストから。

豚肉は子供の頃苦手だったが、大人になって平気に

 子供の頃、小学校の給食の時間は天国でもあり、地獄でもありました。天国というのは、砂糖がふりかけてある、美味しい揚げパンを月に一度は食べられるからでした。それにナポリタンスパゲッティやら、バターの美味しい匂いがぷんぷんするクロワッサンも大好きでした。地獄になる最大の原因は煮ものや炒めものに必ず豚肉が入っているせいでした。当時の給食の豚肉は脂身がへばりついていて、口に入れるとあのトロッとした感触がたまらなく嫌でした。たまに脂身がない肉の時もあるのですが、その時はたいてい堅くて、口に入れて噛んでも噛んでも噛み切れず、呑み込めなくて困ってしまうのです。長いこと口の中に入れている分、豚肉の味を嫌というほど味合うのですが、それはお世辞にも美味しいと言えるものではありませんでした。おかげでいつしか私の頭の中に「豚肉はあまり美味しい物ではない」というイメージが染みついてしまいました。

 当時は給食は残さず食べるのが当たり前の時代でした。それで、どうしても先生に見つからないように”内職”をしなければなりません。内職とは自分の嫌いな物を食べないで済ませるためにすることです。パンに私なら豚肉を挟んで、それを紙に包んで家に持ち帰るのでした。あの頃、給食のパンは一人につき3枚と決まっていました。ある日の給食のおかずは八宝菜でした。いつも通りお決まりのように苦手な豚肉が入っていました。内職をするために、あらかじめパンが入っていた箱から敷いてあった紙を貰ってきて用意しておきました。3枚あるうちの1枚の食パンを膝に置いて、辺りを覗いながら豚肉をパンの上に乗せました。何でもないように書いていますが、その時はきっと心臓がドキドキだったのでしょうね。そして、紙を取り出して包んだら、急いで教科書が入っている机の下のスペースに放り込みました。厄介者でしかない豚肉を始末して、ホッとした私は何事もなかったかのように給食を食べました。

 たぶん、周りのみんなは私のすることを見て見ぬふりをしていたのでしょう。給食の時間に先生から注意されたなんてことは記憶に残っていませんから。給食を食べ終えた人から校庭に行って遊んでもいいので、完食するまで豚肉との地獄を味合うのは嫌でした。喉元過ぎれば熱さを忘れるように、豚肉で嫌な思いをしたのをすぐに忘れました。でも家に帰って、うきうきした気分で何気なしにランドセルを空けると何やら紙に包んだものが出てきました。「あれ~?これなんだろう」と包みを開けてみると、見たくもない物、つまり豚肉が入った食パンを発見してしまうのでした。すぐにゴミ箱にポイと捨てるのですが、またもや嫌な気持ちになってしまいます。

 大人になるまで豚肉を敬遠していた私も、今ではそこいらにある並みの牛肉よりも美味しい豚肉が世の中にある事を知りました。豚肉にもいろいろあって肉の部位や質によって味も違ってくるのだとわかってきて、豚肉が好きになり食べられるようになりました。最近では近くのスーパーでその店独自のブランドの豚肉が売られていて、安くて美味しいので人気があるようです。安いのには秘密があって、国産ではなくてメキシコ産なのですが、肉が驚くほど柔らかいのです。「豊穣もち豚」とパックには書かれていて、味も好みによって選べるのが買う側には嬉しいのです。トンテキ味とガーリックペパー味があって、小分けにして冷凍しておけばいつでも食べられます。フライパンで焼くだけで、手間いらずなのでめんどくさがり屋の私は重宝しています。

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