人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

精肉店のから揚げ

今週のお題「肉」

f:id:mikonacolon:20210917150227j:plain

▲セビーリャのサン・ルイス教会堂。NHKまいにちスペイン語テキストから。

今はもう食べられない精肉店のから揚げが懐かしい

 家から近所のスーパーに行く道にもう30年以上も建っている古いマンションがあります。そのマンションの1階にはコンビニのファミリーマートがあるのですが、昔はそこは八百屋、食料品店、精肉店、魚屋等の生鮮食料品を売る店が集まっていました。しばらくして、八百屋の店主がコンビニを始めると、他の店はいつの間にかなくなってしまいました。でも、精肉店だけはコンビニの横の狭いスペースで細々と以前と変わりなく営業していたのです。その店は店主と奥さんのふたりでやっていて、コロッケやから揚げなどの惣菜は注文を聞いてから揚げてくれました。コンビニの陰に隠れていても、昔からのお客さんはいるので結構忙しそうでした。飲食店への配達もあるのか、店主が自転車で忙しそうに走り回るのを目撃したこともありました。

 その店のショーケースの前には郵便局にあるような椅子が並んでいて、総菜を注文したお客さんが出来上がりを待つようになっていました。私がその店で一番好きだったのはから揚げで、たしか4個で400円でした。その唐揚げは今まで食べたことがないほどジューシーでかぶりつくとジュワッと肉の美味しい脂が口の中に広がりました。これってもも肉でもないし、手羽元のような骨付き肉でもないけど、いったいどの部位なの?といつも不思議に思っていたのです。あまりに美味しいので食欲が暴走して、食べ過ぎるとどうしても胃がもたれてしまいます。それでも外側がカリカリなのに、中は肉が柔らかいのでついついまた食べたくなるのです。店主が渡してくれた袋を開けると、中には肉に割れ目が見えるアツアツのから揚げが入っています。「熱いから火傷しないように気を付けて!」とひとこと声をかけてくれます。病みつきになるのは私だけでなく、店に行くと必ず誰かお客さんが椅子に座って待っていました。作り置きをせずに注文を聞いたらその場で揚げるスタイルなので、余計に美味しいのかもしれませんが、肝心なのは肉の質なのです。

 から揚げの美味しさの秘密を、いったいあれはどんな肉なのかを聞いてみたいとずうっと思っていました。ところが、ある日閉店のお知らせがマンションの入口に貼られていました。結局、から揚げの美味しさの謎はわからないままで、精肉店の終りと共に最高のから揚げとお別れしたのでした。あれ以来あんな美味しいから揚げに出会ったことはありません。

 さて、鶏肉のから揚げと言えば、誰もが大好きでスーパーでも人気の惣菜です。以前そのから揚げについて少し驚いたというか、まさかこんなことが!と戸惑ってしまうことがありました。私はスーパーのから揚げに先の精肉店のような完璧さを求めているわけではなく、ただ普通の鳥のもも肉であればいいのです。感動するような美味しさはなくてもいいし、まあ適当に美味しければ合格点だと思っていました。ある日のスーパーの夕方のセールは鳥のもも肉がパックに山盛で298円でした。こんなにたくさんの量なのですから、国産どりではないのは誰の目にも明らかです。パックの表示を見てみると、やはり中国産で納得しました。

 次の日また総菜売り場に行ってみると、前の日の半分の量もないのに同じ値段のから揚げのパックが置いてありました。これは国産の肉に違いない!そう思って手に取ったら、パックのラベルに中国産と書いてあったので仰天しました。国産のとり肉と中国産とでは値段が倍以上違うではありませんか、これはいったいどうなっているのか。もしかして私たちお客は騙されているのではないかとさえ感じたのでした。店員の間違いならまだ救われますが、不信感を消し去ることはできなくて、もうから揚げは買わなくなりました。それに以前にもミニトマトで騙されたことがあったので、これくらいはあるあるの事態なのかもしれません。普通のミニトマトが100円だった頃、甘くて酸っぱくない特別栽培のミニトマトは3倍の値段でした。いつものように買って食べて見ると、それは明らかに普通のミニトマトの味でした。食べて見ればわかるのにどうしてこんな狡いことをするのか、悲しくなってしまいました。もう今ではそのブランドはありません。

mikonacolon