人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ロンドンの地下鉄

ひと駅乗っただけで、1300円もするの!

 ロンドンの地下鉄には目の玉がパチクリするほど驚かされた。ロンドンの地下鉄の料金はパリと同様にゾーン制になっていて、ロンドン市内なら、均一料金で行けてしまうのだが、その料金が日本はもちろん、パリと比べても天文学的に高い。例えば、パリでは市内ならほとんどのところに2.14ユーロ(約320円)で行ける。ところが、ロンドンでは最初のうちはとても信じられなかったが、4.90ポンド(約千円)かかる。もっともこの情報は事前にネットで調べておいた数字で、現地に行ったら、6.70ポンド(約1300円)になっていたので、何かの間違いではないかとショックを受けた。これまでいろいろな国に行ったが、こんなに馬鹿高い都市は初めてだった。こんな値段では少しくらいの距離なら、、迷わず歩きたくなる。

 大英博物館にしても、館内を見学して疲れたら、帰りは地下鉄にでも乗ればいいと思っていたが、そんな気持ちは吹っ飛んだ。是が非でも、「歩いて帰らなきゃ」と自分に言い聞かせた。それに、ホテルから大英博物館までの25分程度は、たいして苦にもならなかった。だが、テイト・モダンにあるカフェで、テムズ川を眺めながらお茶を飲むと言う目的を果たすには、地下鉄に乗らなければならない。旅行者である私にとって、ロンドンは非日常の場所なのだから、料金に目をつぶって、気にしないでチケットを買えばいい。そう思っていたが、券売機でチケットを買おうとしたら、上手く行かない。

 ガイドブックでは一切触れられていなかったが、ロンドンの地下鉄の券売機は、まず一番初めに、行き先の駅名をアルファベット入力するようになっていた。例えば、私が行きたいテイト・モダンは、Blackfriars(ブラックフリアース)と入力しなければならない。なのに私はいい加減で、適当に入力するものだから、エラーがでまくる。途方にくれ、ガイドブックの地下鉄路線図でスペルを確認し、やっとOKが出て次の段階に進めた。今度は支払いの種類を選ぶのだが、現金、クレジットカード、ICカードと選択ボタンがあるので、現金のボタンをタッチした。次にお金を入れようとするのだけれど、なんと入口が閉まったままなので、コインが入れられない。困った、と思ったら、隣から、「コンファーム、コンファーム」という声がする。隣にあるクレジットカード専用の券売機を利用していた若い男性が見るに見かねて、声をかけてくれたのだ。彼は「コンファーム」と言いながら、しきりに券売機の下の方を指さしている。それで、ようやくわかった、「現金」をタッチしたら、次は下の方にある「confirm(確認)」のボタンを押さないと、お金を入れる入口が開かない仕組みになっていたのだ。う~ん、パリの券売機と勝手が違うので、戸惑ってばかりだが、ロンドンは親切な人が多いなあとまたここでも思う。

 ただ、ロンドンの地下鉄の券売機は私を含めて異邦人にとってはハードルが高すぎると実感した出来事もあった。それはアジア系の中年男性が、おそらく中国人だろうか、まず最初に、行き先を入力するのだが、どうやらスペルが間違っているらしく、エラーが何度も出まくる。それで、堪忍袋の緒が切れたのか、「ダメだ、これは」と憤慨してどこかに行ってしまったのだ、そんな光景を目撃してしまった。

 それはさておき、ロンドンの地下鉄の券売機はパリのと比べると、この上なく旅行者に優しいと言わざるを得ない。なぜなら、パリではナヴィーゴというICカードへの移行が進んでいて、ICカード以外で券売機で使用できるのは、1ユーロ、2ユーロ、5ユーロなどの硬貨とクレジットカードのみだからだ。紙幣は使えないので、ほとほと困り果てた。それなら、クレカがあるではないかと言いたくもなるが、残念なことに、私が持っているクレジットカード2枚とも、エラーが出て使えなかった。それで、どうしたかと言うと、5年前のパリ旅行で残っていたカルネが4枚あったのと、手持ちの硬貨で何とかチケットを買って乗り切った。もし、これから先、パリに行こうとしたら、チケットの問題が大きな壁となりそうだ。その点において、ロンドンの地下鉄は券売機で紙幣も使えるので、券売機の使い方だけ熟知すれば、何も心配することはない。

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