人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

土曜日が楽しくなった

今週のお題ビフォーアフター

見向きもしなかった新聞の別刷りを読むようになって

 コロナ禍になってそれまでロクに読みもしなかった新聞を読むようになった。それでも土曜日に付録のようについてくる別刷りの特集ページは、ロクでもないものだった。きっとやたら広告ばかり多くて、見るだけ時間の無駄だと思っていた。でも、ある時、ふと気が向いたのかページを捲ってみると、これがなかなか楽しかった。たいして面白くもないドラマを我慢して見続けるより、よっぽど有意義な時間だった。

 といっても、ためになるから読んでいるわけでもない。一番気に入っているのは、何のことはない、他人から見れば、「それに何の意味があるの?」と言われてしまうかもしれないが、ネコ漫画なのだから。ただの8コマの漫画だが、カラー版なのがまたいい。作者の中川いさみさんが飼っているブリティッシュショートヘアーのケダマとエキゾチックショートヘアーのクーちゃんが主人公の『コロコロ毛玉日記』。最近またネコが増えて、今度はクーちゃんに似たテツオというチビ猫で、中川さんの絵は仔猫の新鮮な愛らしさを実にうまく表現している。

 偶然にも私が漫画を読みだしたのはちょうど中川さんが連載を始めた頃だったらしい。以来私はケダマとクーちゃんに会える土曜日を楽しみにしている。漫画の内容はまあどうでもいい、クスッと笑ってしまうほのぼのとしたものだが、ネコのいる日常はとても魅力的だなあといつも思う。だが先日の漫画の内容にはびっくり仰天した。毛玉日記が始まって以来の危機一髪の緊張した事態だった。この時の中川さんの心模様を想像すると、私の心は凍り付いてしまう」。

 漫画によると、ある日中川さんは仔猫のテツオが鼻水を垂らしていたので、医者に連れて行った。テツオをリユック型のキャリーバックに入れ、背中に背負って自転車を漕いだ。医者の帰りにデパートの前を通りすぎようとしたら、何かあったのか人だかりがしていた。よく見てみると驚いた、警備員の人が犯人らしき男を取り押さえていたのだった。その光景から察した中川さんは「こりゃあ、ちょっと通れないだろうなあ」と判断し、進もうとしていた道を引き返した。

 ところが、なんたることか、逃げ出した犯人が中川さんの方に走ってきたのだ!漫画には「ちょっと怖いので、スピードを上げたところ」と控えめに書いてあるが、私からしたら、心臓がバクバクするくらい相当に怖い状況だ。こんな目に合うのは宝くじに当たるくらい滅多にない確率で起こりうる幸運ならぬ、悪運としか思えない。そして、当然のように「なぜか、私は仔猫を背中にしょって、犯人の人と並んで猛スピードで走る羽目に」なった。ドラマならまだしもこれが現実だとは、到底信じられない。しかも、”ほのぼの”がお約束のネコ漫画で恐怖の体験を再現していようとは!いつもの寝ぼけ眼が見る見るうちに解消し、慌てて椅子から転げ落ちてしまった。身体には甚だ悪いが、おかげで目覚めはばっちりだ。漫画の最後で、「犯人の人はすぐに取り押さえられたので助かった」と書いてあったので、ほっと胸をなでおろした。

 なに気に漫画の回数を見ると106回目で、ふわふわした気持ちにさせてくれるとばかり思っていた漫画にも、時にはこんな青天の霹靂のような出来事が起こるのだ。だが読者としては、やっぱり『コロコロ毛玉日記』には金色の目をしたモフモフヘアーのケダマの愛らしさだけで十分だ。知らない人にも、ごろ~んとお腹を出して「撫でて~」とアピールする。中川さん曰く平和主義者で誰でもOKの八方美人と噂されてもお構いなしのケダマは無邪気なところが最高だ。人見知りで抱っこが嫌いなクーちゃんとのコントラストもそれはそれで興味深く面白い。

mikonacolon