人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

人生初の胃カメラ

なんだか怖そうだが、実際は知らない間に終わってた

 以前のブログにも書いたが、旅行が近づけば近づくほど身体の不調が続いた。これは私にとって青天の霹靂ともいうべき事態で、ありえない不都合な事実だったが、現実なのだから受け入れるしかない。4年ぶりの海外旅行の不安と身体の不調が一気に襲い掛かった。不安に駆られて、どうでもいいかと思っていた、インフルエンザの予防接種までかかりつけの医院に受けに行く始末。右足の痛みと右の目の奥の神経に近いところに有る部分の炎症、思えば、不思議なことに両方とも右側だ。それだけならまだしも、10月に入って、少し暑さが和らいで、食欲が出て来たと思ったら、胃の調子が悪くなった。要するに、食べ物を食べると胸につかえているような感じ、あるいは胸やけがしてスッキリしないぐらいならいいが、苦しくて痛い。それでも、お腹が空くので食べたいのだが、少ししか食べられない。これってもしかして、食道がんとか、胃がんとか、そんなマイナスのイメージしか湧いてこない。

 それなのに、病院に行くのをためらったのは、旅行の出発日が近づいていたからで、それに、症状がずうっと悪いというわけでもなく、落ち着いている時もあったからだ。なのに、出発当日の朝、また不安に駆られてかかりつけの医院を受診し、胃酸を抑える薬を1週間分貰って、機上の人となった。2週間の旅行の間、特に症状が悪化することはなかったが、パリの寒空の中、予約の時間を待っている間に風邪を引いた。実に10年ぶりぐらいに鼻水が出て、なかなか止まらず、20年ぶりくらいに現地でティッシュペーパーを買うはめになった。一口にティッシュペーパーといっても、フランスに日本のような箱ティッシュというものはなく、紙ナプキンを長方形に折り畳んだものしかない。それを日本人の私にしてみれば、恐れ多い値段にも関わらず、敢えて無視して買わざるを得ない状況だった。風邪薬は旅行の度にお守りのように持って行くパブロンの微粒で、全部で10包あったが、それらを今回はすべて飲んだ。こんな事態は到底予測できなかったが、それもこれも胃の調子が悪いからで、まともに食べられないのだから仕方がない。

 帰りの便では、機内食が美味しいと感じられるほど胃の調子は悪くなかったので、能天気な私は楽観していた。だが、それでめでたしめでたしとはそううまく事は運ばなかった。やはり、食べ物を食べようとすると、つかえて苦しいので、今度は3年前にふらつきやめまいで受診した総合病院に行くことにした。実はあのときコレステロール値が高いので、念のためコレステロールを下げる薬を処方され、毎月受診するように言われていた。なのに、あれからちょうどコロナがひどくなったせいで、敬遠して足が遠のいていた。病院に行くと、あの時の先生で、「あれ、コレステロールの薬はどうしたの?」と苦笑されたが、なにぶんこの先生はとても話しやすいタイプなので、取り繕う必要などなく、正直に話せた。

 ひととおり今の症状を話すと、胃の中の状態を見てみなければ分からないと言われ、検査をすることになった。とりあえず、胃と食道の様子を見るためにCTを撮り、その結果を待っている間に血液検査をした。処置室で血液を採ってもらうのだが、担当の看護師さんに、「血管がわかりづらく、元気がないね」と言われ、「あまり食べていないんじゃない」と指摘される。その通りで元気なころの半分も食べられていなかった。その後、先生に検査の結果を聞いたが、特に問題はないらしい。それであとは胃カメラしかないのだが、驚くべきことに「明日の10時半しか空いていない」し、「これを逃すと年内はもうないから」と言われる。それなら躊躇している場合ではなく、ぜひともやらなきゃ、となった。こうなると、もう自分事でなく、他人の事のように理路整然とした気持ちになるから不思議だ。初めてで、なんとなく不安だから、あまりやりたくないと言う自分勝手な気持ちは何処かに飛んで行った。

 それに輪をかけて、背中を押してくれたのは、先生の「うちのは普通の人は寝ている間に終わってますよ」という一言だった。その時は先生の言葉を少しばかり「そんなことが・・・」と疑ったが、実際は本当にその通りだった。検査室のベッドで、仰向けになりマウスピースを付けられた後、今度は横向きになりましょうと言われた直後から、さっぱり記憶がない。何だか夢を見ていて、目が覚めたら、薄暗い部屋の中で寝ていた。時計を見たら、その間30分余りで、その間に検査は終わっていた。先生の診断では、食道にも胃にもたいして問題はなかった。ただの胃炎で、胃酸を抑える薬を貰って家に帰った。

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