人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

図書館が駅ビルに

図書館を利用するのに、駐車代がかかる

 早いもので、あとちょっとで7月に入る。となると、そろそろお盆のことが気になった。一カ月前から売り出される列車の指定席のチケットを予約しなければならない。いつもまだまだと余裕でいると、あとで慌てることになる。それで、今回は早めに田舎にひとりで暮らす義姉のミチコさんに電話した。お盆の日程を決めた後、いつも待ち合わせをする駅ビルのショッピング街の話になった。お惣菜を販売していて、店の中にイートインのスペースがある店の前で待ち合わせをし、そこでお弁当やおかずを買って、家に帰って食べていた。だいたいいつも夕方の5時ごろになるので、大抵のものは売り切れてしまって、あとには値段の高い物しか残っていない。だが、残り物には福があるとはよく言ったもので、ほとんどハズレはない。一度だけ、もっと早い時間に待ち合わせしたことがあって、その時は二人とも空腹だったため、店の中で食事をした。お弁当を食べながら、店の様子を眺めていると、人の流れが絶えることがない。次から次へとお客さんが入ってきては、さっさと商品を手にとってはレジに進み、出て行くをくり返す。ふ~ん、この店は店の中で食べるというよりも、持ち帰って家で食べたい人が多いのだと言うことに気が付いた。

 考えてみると、その駅は国鉄と私鉄の両方が乗り入れていて、使い勝手がよく、会社帰りにおかずやお弁当を買って帰るのには都合がよかった。だが、一方、地元に住んでいても、滅多に駅を利用しないミチコさんのような人にとってはたいしてメリットはなかった。なぜならミチコさんは普段は車を利用しているので、家から車で15分程度かかるその駅までわざわざ行く用事がない。はっきり言って、駅に誰かを迎えいく、あるいは送っていくときにしか駅に行くことがなかった。それにあまりその駅まで行かない理由の一つにあげられるのは、駐車場の問題で、立体駐車場に車を停めるのは構わない。でも一番嫌なのは、駐車料金を払わなければならないことだ。普段買い物に行くスーパーは混んではいても、当然のことながら駐車代はタダである。なので、わざわざ駐車料金を払ってまで駅構内にあるショッピング街まで行く必要はないのだ。そんなわけで、ミチコさんは私と待ち合わせするときにだけ、仕方なく駅ビルに足を踏み入れる。地元の駅でありながら、中がどうなっているのか、どんな店があるのかさえ知らないし、また知ろうとも思わない。それくらいどうでもいいらしいのだ。

 駅ビルにはショッピング街のほかに私鉄が経営する昔からある百貨店も併設されていた。ミチコさんと話していて、その百貨店の話題になったとき、もうあそこは閉店になると聞かされて仰天した。地元に居ない異邦人の私としては、昔のイメージだけが付き纏っているので、無くなると想像しただけで、寂しい気持ちになった。だが、ミチコさんはそんな感慨に浸る様子すら見せず、あっけないほどさっぱりしていた。そのあと、ミチコさんは意外なことを口にした。「図書館があんなところにあるなんて、使いずらくて行く気がしない」と言うのだ。誰がどんな意図でもって、計画したのかは定かではないが、駅ビルの中に、つまり駅ビルの3階かそこらのスペースに図書館を作ったのだ。おそらく、通勤、通学の帰りについでに図書館に立ち寄れる環境があれば便利だろうとでも考えたのだろうか、とミチコさんは言うが、駅を利用しない地元の人たちにとっては迷惑でしかないのだ。

 駅ビルに図書館があるのだから、当然駐車料金がかかると聞いて、困惑した。正確に言うと、1時間までは無料だが、それ以降は駐車料金が何百円かかかる。一口に1時間というと、それくらいで何とかなると思いがちだが、本棚の間を歩き回ったり、なんだかんだどれにしようかと迷ったりしていると、1時間ぐらいはあっという間に過ぎる。それに、公共の図書館を利用するのに、なぜお金がかかるのか、甚だ理解に苦しむ。そのためミチコさんは最近は図書館から足が遠のき、それよりもBOOKOFFで安い本を見つけた方がいいとさえ思っている。

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