人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

絶不調、それでも海外旅行は楽しい

体調が悪くても、食べられなくても、何とかなる

 私は今まで、体調が悪いのに海外に行くなんてありえないと思っていた。旅行は、特に海外旅行は、”元気”が何よりの必須の条件だと固く信じていた。それに、病は気からと昔からよく言ったもので、ウキウキ、ワクワクしてその機会を待ち望んでいる人のところに、病なんて忍び寄る隙さえないとばかり思っていた。ところが、そうやって調子に乗っているおめでたい奴、つまり私のところに徐々に病は押し寄せて来た。それも、旅行の出発日が近づくにつれて、次々と。そのことは以前のブログに既述したが、2023年の5月まではNHKのラジオ英会話に熱中して、ルンルン状態だった。

 だが、6月からは幸せの絶頂から地獄に突き落とされたような日々が始まった。ある日突然、ブログを書くためにパソコンの前に正座しようとしたら、痛てて!と激痛に襲われた。右膝の裏にできている何かが邪魔して、足が曲げられなかった。堪らず、いつも行く診療所に駆け込んだら、ベーカー嚢腫だと診断された。袋に溜まった水を注射器で抜くようなことはする必要がないと言われ、自然に水が消えるのを待つことになった。この”自然に”には、正確に言うと、それなりの代償が伴うことはいくら鈍感な私でもすぐに察しがついた。ズバリ言うと、けっこうな痛みを我慢し、何か別のことで気をそらさないとどうにかなりそうだった。まさか、診療所の先生にどのくらいで消えますかなんて、聞く勇気なんてない。というより、自分の右足にとんでもなく迷惑なものができていることにショックを受けて、その余裕すらない。

 痛いながらも歩くことはできたが、夜寝ている時にじ~んと痛みが襲ってくるのはどうしようもない。”元の足を返せ”と心の中で叫びたかった。いつまで続くかわからない痛みとの闘いは3カ月後になって、やっと小休止してホッと一息ついた。だんだん良くなっている、と自分でも思えたからだ。だが、夏の異常な暑さが一段落したかに見えた9月になってまた異変が起きた。今度は顔の右半分が腫れて、触るだけで痛くて、まともに顔が洗えなくなった。以前、歯科で神経の治療をした時に顔が腫れたことがあったが、今回はその時とは様子が違うようだ。なぜなら、痛みがおでこと右目の周りに集中しているように感じたからだ。これは右目がどうかなっているに違いない。だが、鏡で右目を見てみるが、充血しているわけでもない。はて、これはいったいどうしたことか。素人目には何が何だかわからないので、眼科に行って診てもらう。

 そこでの診断には驚かされた。私に右目は見た目には何ともないが、目の奥の神経に近いところで炎症が起きているとのこと。視力検査はもちろんのこと、神経の断面の様子を調べる検査、視野検査等のいくつもやった。以来、眼科を受診してから、現在に至るまで「もう来なくていいですよ」とは言われない。それほど、私の右目の炎症はひどいものだったらしい。そんな訳で海外旅行に行っても、朝晩の目薬の点眼は欠かせなかった。幸運なことに眼科に行って2週間ほどすると、顔の痛みはほぼなくなったので、旅行中は何の問題もなかった。

 だが、ここでまた10月になって異変が起きた。夏の暑さで息をひそめていた食欲がぶり返したかと思ったら、今度は胃の調子が悪くなった。よく胃薬の箱の裏に書かれているような、「胃のムカつき、胸焼け、胸つかえ」といった症状が出始めた。その時の私の偽らざる感情は、「どうしよう、こんなんで海外旅行に行っていいのだろうか」という思いだった。「どうせ、すぐよくなるだろう」し、それに、「今までもこんなことはよくあったのだから」と能天気に構えていた。だが、出発日が迫っていると言うのに、なかなか良くならない。だが、不調ぐらいでは海外旅行を中止する理由にはならない。なぜなら、少々、右足に不安を抱えているとはいえ、曲がりなりにも歩けるのだから。

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