人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

年末年始の新幹線はすでに満席

一体全体、いつから1年前から予約OKになったのか

 あれは、4年ぶりの海外旅行から帰って間もない頃だった。11月7日に日本に帰ってきたが、帰って来るとすぐに医者通いが始まった。出発前から、胃の調子が怖ろしく悪かったし、9月に突然右目の奥の炎症にも見舞われていたので、眼科と内科を受診した。もちろん、旅行中も記録を付けて管理し、一日2回の点眼は怠らなかった。3週間ぶりに訪れた眼科では順調に回復していると言われ安堵した。また、旅行の日程を気にする必要もなくなったので、医師の勧めるままに、CTも撮ったし、胃カメラもやった。結果的には、姉のような食道がんでも、父親のような胃がんでもなかったが、ただの胃炎であっても、とても苦しい。それでも、とりあえずひと安心したら、症状がたいして良くなったわけでもないのに、急に食欲が出た。考えてみると、これからの寒さに打ち勝つには、ちゃんと食べられないようではすぐに風邪を引いてしまいかねない。

 そんなある日、私はそろそろ年末年始の帰省のことを考える時期が近づいてきていることに気が付いた。そう言えば、旅行に行く前に、「今年の年末年始は新幹線の座席はすべて指定席です」とテレビのニュースか何かで聞いた気がする。いつもネットで1か月と1週間前から予約して、余裕綽々の私は、PCを立ち上げて、予約サイトにログインした。すると、画面にまさかのフレーズを発見した。そこには「予約は1年前からできます」だなんて、信じたくはない事実が書かれていた。要するに、私は今年列車予約において完全に後れを取ってしまったのだ。

 12月28日から1月4日までは予約が集中する繁忙期だとはわかってはいたが、ついつい旅行の計画に追われて、帰省のことがないがしろになっていた。いつも新幹線に乗る12月30日の列車をダメもとで検索するがすべて満席で、頭の中が混乱し、冷や汗が出まくった。それを証拠に私の脇の下は汗でグッショリ濡れていた。もしかしたら、今年は帰省は無理かもと諦めかけたとき、「年末に誰もが一番避けたいのは、早朝の6時台の列車に乗ることだろうか」との考えがひらめいた。もしかしたら、6時台の新幹線なら、空いているかもしれないと、焦って、確かめてみると、6時20分ののぞみにはまだ空きがあるようだった。早速予約を入れると、すぐに「予約が完了しました」と画面に大きく表示されたので、ひと安心。帰りはゆっくりと1月5日に帰ればいいので特に問題はなかった。

 田舎に居る義姉のミチコさんに電話をかけて、その旨を報告すると呆れられた。「そんな朝早い列車に本当に乗れるの?」とか「あんたがそんなに早く起きられるとは思えない」などと心無いことを言われたが、是が非でも、乗らなければならないし、またとりあえず、乗ってしまえばこちらのものである。こちらの本音はよくぞ30日に早朝ではあっても空席があったと手放しで喜び、自分は何とついている人間だろうかと感激していた。なので、「そんな早朝に乗るの嫌だなあ」等とは露ほども思わず、その先を、つまり乗った後のことだけを考えていた。

 こうなってしまったからには思いっきり楽しむしかない。早朝に列車に乗る楽しみと言えば、どう考えても、駅弁と温かいお茶に尽きると思うが、果たして、そんな朝早く駅弁が売っているのだろうか、あるいはホームの売店は開いているのだろうかなどという疑問が沸々と湧いてきた。そこで、いつもの習慣で、ネットで検索してみると、なんと駅弁屋さんやデリカのお店は5時半からすでにやっていることが分かった。ええ!?信じられない、そんな朝早くから営業しているなんて、何と有難いことだろうか。ネットの情報では駅のホームの2号車辺りに駅弁屋さんがあり、7号車と14号車辺りにはデリカの店があるようだ。車内で駅弁を食べるという楽しみがあれば、どんなに眠くても、どんなに寒くても、何とか耐えられそうな気がする。

 

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