人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ベトナムが一番人気

物価が日本の三分の一!?

 土曜日の夕方、テレビの情報番組を見ていたら、昨年の海外旅行の旅客数の話題になった。国別のグラフを見てみると、米国や、タイ、オーストラリア等各国はコロナ前と比べると、ほとんどの国で旅客数が回復していた。だが、日本だけは48%しか戻っていない。これはどうしたことか。番組によると、その原因は円高が進み、日常において、物価高がとどまることを知らないため、不安に駆られて、行くのを躊躇しているのではないか、と推測していた。まあ、確かにその通りだ。最近は新聞にも海外旅行のツアーの広告が載ることが増えたが、8日間で60万円、しかもサーチャージなしでである。一瞬、ビジネスクラス、と目を疑うばかりの高額な値段に、「そんなに高いなら、無理して行かなくていいか」となるのは普通だ。そのせいか、国内旅行のツアーが何ぺージにもわたって特集されている。大型書店の旅行書コーナーも、国内が中心で、海外旅行本は隅のライトが当たらない暗い場所に追いやられたままだ。

 さて、では日本人は本当にそんなに海外に行かないのかと言うと、そんなことはなさそうだ。今海外旅行で人気のある場所はアジアで、それも一番人気はタイかと思ったら、そうではなくて、ベトナムだった。ベトナムと言えば、その昔、知人が一度行って来て、食べ物が美味しいと感激していた場所だった。ただ、当時は直行便がなくて、しかも入国するにビザが必要だった。だが、今はそんな障壁はなさそうだ。番組では、ある一家が年末年始に海外旅行に行くのに同行して取材していた。夫婦と小さな子供二人のAさん一家は本当はハワイに行きたかったが、ハワイは物価高なので予算的にきつかった。それで、ベトナムを選択した。家族4人で7日間で掛かった費用を聞いて、仰天した。なんと50万円で、常識的に言えば、大人一人分にも満たない金額だ。いやはや、とても信じられない、そんな安く家族で海外に行けるだなんて。

 私も昨年ヨーロッパに2週間旅行したので、現地の物価高は身に染みて感じている。向こうの物価は日本の2倍、いや3倍なのだから。そりゃあ、日本に遊びに来る外国人にとっては、天国以外の何ものでもないはずだ。だが、欧州ではなくても、アジアという選択もあったのだ、ということにこの番組を見て、気づかされた。Aさん一家がベトナムを選んだ理由は、第一に時差の問題で、帰国後 子どもが幼稚園に行くのに支障がないようにとのことだった。因みに、ハワイは19時間で、ベトナムは2時間なので、こちらを選択した。第二は食べ物のことで、子どもでも違和感なく食べられるものが多いという点だった。第三には物価が日本の3分の一で、コスパがいいということだった。

 それに美しいビーチもあって、高級ホテルには一泊2万円で泊まれるというお得感が嬉しかった。そういった、あらゆる点を考慮した結果、ベトナムに決めてとても満足している、と話していた。現地で家族で、カヌーを漕いで、美しい景色を楽しんだ。子どもたちは現地の民族衣装のアオザイをレンタルして、周りの風景に溶け込んだかのように歩き回った。ベトナムは家族4人で休日を過ごすのにはもってこいの場所だった。そんな光景を見ていた私は、いつの間にかハワイで過ごす家族連れと何ら変わりはないのではないかと錯覚してしまった。日本人はハワイ、ハワイとやたら行きたがるが、別にハワイでなくても、ハワイにこだわる必要はないのではないか、と思えてくる。

 いつも、テレビでお盆や年末の空港の出国ラッシュを見るだけだったが、実際に出かける人たちがどこへ行くのか、あるいはどんな人たちなのかを、知る由もなかった。この番組を見たおかげで、こんな選択もあるのか、目の玉が飛び出るような費用を掛けなくても、十分楽しめるのだということが分かった。親と頭は使いようなのだ。あれ、ちょっと違うか。こうなったら、無い知恵をもっと絞りださねば、と自分を戒めた。

mikonacolon