人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

思い切ってアフリカへ

今週のお題「人生で一番高い買い物」

帰国後、カード会社からの請求書に仰天!

 私が今までで一番お金を使ったのは、コロナ前に行ったパリからモロッコへの旅行だと思う。たった4日間ではあったけれど、おまけに体調を崩してしまったにも関わらず、「行ってよかった」と満足していた。だが、そこへ私の幸せに冷や水を浴びせるかのように、カード会社からの請求書が届いた。封を切って中身を見たら、目の玉が飛び出るほど驚いた。何と請求額が56万円!?この金額を見た瞬間、心臓がドキドキした。嘘でしょう!これは何かの間違いに違いない。ショックを受けた私は、すぐにカード会社のカスタマーセンターに電話をした。そして、「私はこんなに使ってません!(実際は確かに使っているのだが、すでに忘れている)」と叫んでしまった。

 すると、あちらの担当者は慌てることなく、「どのご利用額が間違っているのでしょうか」と聞いてきた。そう言われて私は少し冷静さを取りもどしたのか、急いで請求書の明細を確認した。ざっと見てみると、たしかに使った覚えがある。だから請求書は何一つ間違ってはいないのだった。早合点した自分の愚かさに”穴があったら入りたい”とはまさにこのことだった。恥ずかしさでいっぱいになった私は手短に謝罪の言葉を言うと早々に電話を切った。ちなみにこの56万円の中には航空運賃やTGVなどの列車の運賃は含まれていない。ほとんどが3週間以上にも及ぶホテル滞在にかかった費用なのは明らかだ。ベランダやテラスが付いているような部屋に泊まれば、このくらいかかるのは当たり前なのだが、クレジットカードは後で支払うシステムになっている。だから自分でも承知の上なのに、つい忘れてしまっていて、恐ろしく高い金額に狼狽えることになる。

 こんな高い旅行を欲望のままに計画してしまう、身の程知らずな私にもちゃんと節操というものはある。一応は旅行にかかる総額をドンぶり勘定でざっと計算し、払えるかどうかを自問自答してみる。それで何とかなると判断すれば旅行は実現するのだ。それにしても、忘れた頃にやって来るクレカの支払いには、少なからず胸が、いや、懐が痛む、あれを何とかできないものだろうか。今から遥か昔には、旅行に行く前に泊まるホテルの支払いをクーポンを買って済ませていた時代があった。お楽しみの前にお金はすでに支払っているので、帰ってきてから請求書が来ることもなかった。ホテルの部屋にあるミニバーの飲み物やお菓子を散々飲んだり、食べたりしてもお咎めなしだった。

 ホテルの費用のほかに、アフリカにまで足を伸ばしたことにも高くついた原因がある。スペインの最南端の地アルへシラスでやめておけばいいものを、海を隔てたアフリカの地、モロッコまで行こうとした。なんだか面白そうだし、またとない機会だから今行かなきゃとさえ思った。フェリーの料金はそれほど高くはないが、かの地は残念なことに、移動はバスのみで地下鉄や鉄道はないようだった。おまけにそのバスも予約でいっぱいでなかなか気軽に乗れない代物だ。町の中を移動するにも、たとえば、港からホテルまでとか、ホテルからバスターミナルまではすべてタクシーを利用しなければならない。今から思えばお金がかかった。たった4日間しかモロッコにいなかったので、現地の事情はさっぱり分からない。ガイドブックによると、現地の人々にはちゃんと利用できるバスというものがあるらしく、タクシーには乗らない。タクシーは観光客のためのものらしい。

 モロッコの街で特筆すべきことは、新市街と旧市街が同時に存在していることだ。新市街は高層ビルが立ち並び、まさに大都会の様相だが、ひとたび暗い路地に入れば、そこは露店が広がっている旧市街だ。子供の頃読んだアラビアンライトの世界が現実にそこに存在した。なんとも摩訶不思議で、魅力に溢れた別世界に興味は尽きない。

 

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