人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

3年ぶりに食べ放題に行ってみたら

子供が喜ぶ仕掛けにびっくり

 田舎から帰って、年末年始に溜まった新聞の整理と義姉のミチコさんが送ってくれた荷物の大半を占める衣類の洗濯で大忙しだった。そこへ、親戚のゆりちゃんから電話があって、週末に遊びに来たいということだった。考えてみると、コロナ禍もあって、3年ぐらい会っていなかった。たいして心は動かないが、真っ当な断わる理由が何も見つからない。それに、向こうは二人の女の子がいて、その子たちがどうしても遊びに来たいと言っているらしい。ゆりちゃん夫婦はどうでもいいが、子供たちは別で、会えるのは嬉しい。

 大体があの夫婦はいつだって自分たちのペースで物事を進めていく。最初は面食らってしまったが、次第に彼らのペースに慣れて、いまでは何とも思わなくなった。例えば、普通はお客さんはこちらのペースに合わせるものだと思っていると、なあ~んだと後悔することになる。以前、お昼に皆で食べようと、スーパーで買って来た握りずしを用意していたら、彼らはちゃんと自分たちの食べる物を持ってきていた。なんと、「そんな気を使わなくていいから」と宣ったので、仰天した。お茶やコーヒーにしたって、自分たちの好みの飲み物のペットボトルを持ってきているので、私が出したものに口を付けようともしない。

 そういうことなので、今回も特別には何も食べ物を用意しなかった。お昼に来ると言うので、どこか適当な店で皆で食べればいいと簡単に考えていた。駅前で待ち合わせをして、さて、どこにしようかということになった。この辺りで人気のある店と言えば、くら寿司でいつも満員だと言う噂だった。混んでいるのを承知で、ダメもとで行ってみた。店内に入ると、あら不思議誰も待っていない。一瞬喜んだが、そんなはずはなかった。”ただ今40分から50分待ちです”との文字が機械から出て来たペーパーに記されていた。要するに、皆どこか他の場所で時間を潰しているか、あるいはそんなに待つだなんて冗談じゃないと諦めた結果、店の待合室は閑散としていたのだ。

 さて、困った、これからどうしようか。すると、ゆりちゃんの夫が駅ビルの上の階に確か別の回転ずしがあったはずと言うので、言われるままについて行った。それはスシローでそこが空いていればよかったのだが、日曜日のお昼だからそんなはずもない。それで、下の階に「スタミナ太郎」という焼肉食べ放題の店があることを発見し、また彼らの後をついて行った。”焼肉食べ放題”というフレーズを聞いて、個人的にはなんだか嫌な予感がした。その時の私は、焼肉を食べたい気分ではさらさらなく、むしろ回転ずしの方がよかった。それに食べ放題というシステムに物凄く抵抗があった。どう考えても私の食欲では元を取るだなんてことはできそうもないからだ。

 さて、ゆりちゃんの夫の話ではスタミナ太郎は結構な人気店だと言うが、意外にも店の中は閑散としていた。なんだか胸騒ぎがした。この店のシステムは自分で好きな肉を取りに行って、焼いて食べるビュッフェ形式になっていた。肉の他にも、焼きそばや肉団子、カレー、ラーメンと何でもある。それにお寿司まであったが、どんなものかと見てみるが、回転寿司に慣れている私には、どれもあまり生きがよくないように見えて手が出ない。それなら、肉でも焼いてみるかと、あれこれ見てみるが、どれもこれも薄っぺらくて、どう見ても美味しそうには見えない。まあ、大人一人2980円なのだから仕方ないのか。付き合いだからと我慢している私をしり目に子供たちは嬉しそうだ。

 驚くべきことに、7歳と5歳の子供たちは食事というものをしないで、デザートばかり食べている。この店は焼肉店なのに、綿あめを作れる機械が置いてあった。5歳の子が「綿あめ食べたい」と言うと、ゆりちゃんが慣れた手つきで、スプーンで砂糖を掬って、機械の真ん中にある穴に入れてボタンを押した。すると、白い糸のようなものが徐々に出始め、やがて、手に持っている棒に絡みついて、ミニ綿あめが出来上がった。それと、子供たちが食べていたのはかき氷で、いや、食べると言うよりテーブルの上で溢れさせ、ぐちょぐちょにして遊んでいた。かき氷のブルーハワイの青色が舌につくのが面白いらしく、互いに眺め合って、面白がっていた。なるほど、大人は食べる、飲む専門で、子供が退屈せずに遊べる場所、それがこの店を選んだ理由らしい。

 店が空きすぎていて、席に余裕があるせいなのか、私たちは2家族分に相当するテーブル席に座ることができた。ソファをふと見ると、穴ぼこがあって、中からスポンジが見えていた。本当にここが人気店なのだろうか、店内は暗く、活気もないのが気にかかり、早く帰りたいのが本音だった。ゆりちゃん夫婦は満足そうに、「ああ、食べた。食べた。もう、お腹一杯」と言っていた。それくらい私と彼らとの間には感じ方の違いがあるのだ。そんなことはもはや驚くまでもない。だからこそ、積極的に付き合う必要はない。できるだけ距離を置くのが賢明というものだ。

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