人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ケーキ作りで道具を揃える

今週のお題「買いそろえたもの」

f:id:mikonacolon:20220316162500j:plain

何でも始めようとすると、最初はお金がかかるもので

 高校生の頃、森村桂さんの本に夢中になった。桂さんは日本人で一番最初にフランス領だったニューカレドニアに行った人だ。若い女性がどんなところかもわからない未開の島に行こうと決心し、本当に行ってしまう勇気に感動した。なんだか怖そうというより、面白そうと思える天衣無縫な性格に魅了されたのだった。本当に行ってみた感想は「天国に一番近い島」で、世の中にセンセーションを巻き起こした著書のタイトルにもなっている。その本が一番最初の著書で、それからはシリーズ化されて、面白い内容の本が次々と出た。本が出るたびに買っていたのだが、あるとき読んでいたら、偶然ケーキの話が出てきて、それもバナナケーキについてだった。バナナケーキ?と言ってもそんな名前のケーキは見たことも聞いたこともないし、もちろん食べたこともなかった。

 詳しいことはもう忘れてしまったが、桂さんがどこかの外国に行った時に食べておいしかったので、レシピを教えてもらったという。自宅に帰って試してみたら、自分で作っても美味だった。簡単で誰にでもできるので、ぜひ試して欲しいと書いてあった。バナナケーキは美味しいに違いないと思い込んだ私は、桂さんのお勧めならと、すぐにでも作ってみたくなった。だがケーキ作りなどしたことがないので、道具がない。何が必要かもわからないので、本屋に走って行って料理本のそれもケーキ作りの本を探した。あれこれ2~3冊の本を立ち読みした私は、その中でも一番シンプルで初心者向けの本を買うことにした。

 簡単と一口に言っても、ただ単に小麦粉、卵、バター、砂糖、それとバナナケーキの場合なら、バナナをボールの中で混ぜ合わせるだけでOKと言うわけにはいかなかった。ボールの中でそれらの材料を合体させる前にやっておかなければならない決まり事があった。そして、そのやるべきことをするためには道具が必要だった。ここで道具を買うために自分で店に行って、お金を使う必要があった。果たして当時の私はお菓子作りの道具をどこで買ったのだろうか。近所のスーパーに置いてあるはずもないので、やはり都心の何でも揃っている専門店に行ったのではないだろうか。そうだ、思い出した、東急ハンズにでも行ったのか。

 今でも覚えているのは、「粉振るい器」で、ステンレスで出来ていて、取っ手を何度も押してカシャカシャさせて、粉をふるいにかける道具だった。最低でもこの作業を2回やらないと、焼きあがったときにケーキの生地にダマができてしまう。だから面倒だからと言ってパスできなかった。美味しいケーキを食べるためには手間がかかるのだと知った。この粉振るい器は記憶にはないが、たぶん値段は2千円近くしたと思う。それから一番大切なのはケーキをふわっと仕上げてくれる卵白を泡立てることだった。この作業に腕と自信がある人以外は、腕が痛いのと、いつまでたっても白身が泡立ってくれないの疲れ切って値を上げてしまう。実力がないことが自分でもわかっていた私は、誰でも簡単に白身を泡立てることができる道具を買った。それは「泡だて器」といっても、横にレバーが付いていて、手で回すと、あれよあれよという間に白身が魔法のように泡立ってくれて、白いメレンゲができるのだった。普通の泡だて器に比べると、数倍楽しかった。手もたいして疲れないし、これは本当に優れ物だった。これが無ければケーキ作りはいっこうにはかどらない。このお助け道具はやはり2千円近い値段だった。

 それから、ステンレスで出来たケーキの焼き型や、大きめのボール、ゴムのへらや、スポンジに生クリームなどを塗るときに使うナイフ等を買った。結構いろんなもの買わなかければ、ケーキ作りは始められないので、お金もかかるが最初だから仕方がない。さて、桂さんお勧めのバナナケーキの材料はシンプルで大まかにいえば、どこの家でもたいてい家に薄力粉は常備していると思うので、バナナを買ってくるだけで済んでしまう。実際に作ってみたら、想像以上に美味だったが、忘れてはいけないのはバナナの質で出来るだけ甘みのある物を選んだ方がより美味しい。バナナケーキは文字通りバナナが命なのだから。

mikonacolon