人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

自家製冷凍弁当に仰天

今週のお題「お弁当」

これってもしかして、私だけですか?

 今まで生きて来て、お弁当に関して、一番驚いたのは、知人が作る冷凍弁当だった。冷凍弁当というと、ネットで売っていると噂では聞いたことがあったが、まさか家で作るのだとは思いもよらなかった。あれは果たして、自分で作れるものなのか、それに衛生上問題ないのかと私はあれこれ考えてしまった。そんな不安を口にしても、知人は至って当然のことと、全然動じなかった。

 よく話を聞いてみると、知人の娘さんが家から遠い大学に通っていて、その娘さんに毎朝持たせるための弁当を前の晩に作って冷凍しておくのだそうだ。なぜ、朝作らないのかというと、5時頃起きるのは辛いし、また朝早くから慌ただしいのは嫌だからという理由だった。寝る前に、いや、夕食のおかずを作る際に弁当箱の中にご飯とおかずを詰め、冷凍庫に入れて置けば、一石二鳥で手間いらずだからだ。自家製冷凍弁当という裏技を見つけたことに、知人はとても満足していた。朝忙しい思いをするよりは、夕食時にやっておいた方が効率的だと言わんばかりだった。皆なぜそうしないのかと不思議そうにしていた。

 私が、そんなことをして大丈夫なの、と疑問を口にすると、朝娘さんが出かける時に冷凍庫から出して、持たせると、お昼時にはちょうど弁当が食べごろなのだという。当の娘さんからも不満の声はなく、とてもうまく行っていると満足していた。いやはや、自家製冷凍弁当は大活躍しているようだが、話だけ聞いて、内心は決して真似しようとは思わなかった。それよりも、知人の娘さんのことが気にかかり、とてもえらいなあと感心した。知人の娘さんは当時20代後半だったが、その娘さんがどうして大学に通っているかというと、それは大学に入り直したからだ。薬剤師の免許を取るためだった。娘さんは大学を卒業した後、一般企業に勤めていたが、その中で強く思ったそうだ、何の専門分野も持たない自分はどうやってこれから生きていけばいいのか、と。

 それで、何か武器になるような資格を取りたいと考えて末に、会社を辞めて、薬学部のある大学に入り直そうと決心したという。う~ん、こういうことって小説やドラマにはふんだんに盛り込まれてはいるが、現実にはなかなかハードルが高い行為だ。自分の気持ちだけではどうにもならず、思うことはできても周りの理解がないと相当に難しい。大学受験にしたって上手くいくかどうかにわからないし、その先も視界良好とは行かないのが世の中である。それでも娘さんの勇気ある決断には拍手を送りたいのが本心だ。知人の話によると、弁当の話を聞いた当時は娘さんはあと2年ほどで卒業だと言っていた。あれからどうなったのか、音信が途絶えてしまったので知る由もないが、今ごろはきっと立派な薬剤師になっているに違いない。

 薬剤師でふと思い出したが、新聞などでよく記事を目にする生活評論家の人がいる。名前ははっきり思い出せないが、テレビにも出演したりする有名な人なのだが、生活評論家としての仕事だけでは生活できないらしい。それで、収入を補うために他の仕事をする必要があって、週に何回か薬局で薬剤師をしている。元々薬剤師の資格を持っているその人は病院で働こうとしたが、こちらは空きがなかった。それで、薬局、というよりもドラッグストアと言った方がいい店で働くことになった。病院と違って、ドラッグストアの仕事は調剤のみならず、接客もしなければならない。はっきり言って、最初は接客には戸惑ったが、今ではだいぶ慣れたという。長年デパートのお客様相談室に勤務していたが、定年で辞めたので、次の職場にドラッグストアを選んだというわけだ。その人曰く、今は本来の薬剤師としての仕事は減っていて、あるのはドラッグストアでの販売員のような仕事ばかりだという。「お弁当」から繋がって、知人の娘さんを思い出し、生活評論家の話題にたどり着いた。まさにしりとりのようなもので、なかなか愉快だ。

mikonacolon

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