人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ボタンの穴が小さすぎて、コートが着られない

ネットでの通信販売には注意が必要

 私はいつも、新聞を読む際に、ついでに法務の相談コーナーにも目を通す。もちろん、ざっと目を通す程度なのだが、先日はとんでもない話に開いた口がふさがらなかった。なんと、ネットで買ったコートの穴が小さくて、着られないので、交換を申し込んだら販売元から送料を要求された、というのだ。はて、これはいったいどういうこと!?と首を傾げた。まずは、送られてきたコートのボタンの穴が小さすぎる、だなんてことが本当にあるのだろうか。だいたいが既製品なのだから、ボタンホールの大きさは決まっているはず、まさか相談者に送られてきた商品だけが穴が小さすぎる、だなんてことは魔訶不思議で、とても信じられない。それに、そんなことが実際にあったとしても、そんなとんでもない不良品のコートをやむなく交換してもらうのに、送料を負担させるという、厚かましさに驚きを隠せない。

 相談者としては、不良品を送りつけられた挙句の果てに、送料を負担するのはどうしても納得がいかない。当然のことなので、こういう場合には、法律的にはどうなのかということを聞きたかったようだ。回答者の弁護士によると、「実費を送り主に請求可能だ」ということだった。さらに、ネット通販の場合は返品・交換の注意事項を確認するようにとの忠告を付け加えていた。だいたいが、私も含めて、商品を買う時は買うことばかりに気を取られて、返品とか交換のことまでには考えが及ばない。その場所まで行って買うのが面倒臭いから、ネットで買うのを選択するわけだが、一つ間違えば、一番避けたかった“面倒臭さ”が倍になって跳ね返ってくるのだ。

 実際に私も、そんな面倒臭い思いを嫌というほどしたことがある。ネットで商品を買うということが、どれだけ鬱陶しくて、イライラさせられるものなのかを身をもって経験した。それはまだ記憶が新しい昨年のことで、家電販売店で買えばいいのに、ネットで電子レンジを注文した。すぐに送られてきて、「こんなに簡単に手に入るなら、別に店に行かなくてもいいんだ」と得意満面だった。安心しきって、商品を試して、確かめてみようなどという警戒心などさらさらなかった。一カ月程経って、そろそろ使って見なきゃとふと思った。電源を入れて、電子レンジの温めのボタンを押したが、うんともすんとも言わない。パネルに「エラー」の文字が表示され、何も起こらず、そのままの状態が続くだけだった。これは、まさか、まさかの故障、いや、不良品なのかもしれない。そう思った瞬間、目の前が真っ暗になった。折も折、そのときは何とも不都合な、三連休の初日で、この惨事を報告し、助けを求めようにも販売元は休みで連絡が取れやしない。万事休すだ。

 それでも、慌てまくった私は、電子レンジの発売元である日立家電のお客様相談室に電話をかけて聞いてみる。すると、いずれにしても、現物をこちらまで送っていただかないと、何とも対処のしようがないといわれてしまう。そう言われて初めて、人が自分の家に見に来てくれるとばかり思っていた私は、これはかなり面倒臭いことになったとようやく気が付いた。もちろん、この状況では、相談するべきなのは、日立家電ではなく商品を買った販売元なのだが。電子レンジを送るとなると、かなり大きな箱がいる。とっくの昔に電子レンジが入っていた箱は捨ててしまっていたので、薬局にでも行って、大きめの箱を貰って来る必要がある。急に忙しくなるが、休み明けまでに何とかしなければと奮闘し、ようやく梱包できた時はホッとした。大変まどろっこしいことだが、ネットで注文したのだから、その後の連絡もメールでのやり取りが続く。

 電話でのやり取りができないので、諦めるしかないのだが、自分で言うのも何だが、私はこのことをあまり深刻には受け止めていなかった。要するに、私にとっては、この事態は”大事の前の小事”に過ぎなかった。当時私は海外旅行を目前に控えていて、そちらにしか関心がなかった。なので、先方ののらりくらりとしたはっきりしない対応にも、”果報は寝て待て”と言わんばかりに思っていた。海外旅行から帰って、交換品が届いた時は驚愕した。なぜなら、それは以前のものとは似ても似つかぬ立派な正規品だったからだ。つまり、先方が最初に送ってきたのは日立の製品のコピーだったのだ。

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