人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

勇敢で賢い赤毛のアン

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火は酸素で強まる?

 NHKのドラマ「アンという名の少女」を見ています。モンゴメリの原作ははるか昔に読んだきりで、夢見がちな孤児の女の子の成長物語としか思っていませんでした。見始めると、子供が知らなくてもいい現実も垣間見えて想像したのと様子が違います。

 今回は8回完結のドラマの5回目で、アヴォンリーの村のためにアンが大活躍しました。ある日の真夜中にアンは外から聞こえてくる異様な音に起こされてしまいました。窓から外を見ると遠くで赤い炎が上がっていて、どうやら火事のようです。学校の友達のルビーの家が火事で燃えていて、村の人たちが懸命にバケツリレーで火を消そうとしています。その時、アンだけがあることに気が付いたのです、それは「どうして窓もドアも開けっ放しになっているの?」という疑問でした。アンは躊躇することなく燃えている家の中に入って行き、次々と開いている窓を閉めていきました。でもその場にいる大人も子供も、誰もがアンの行動の意味が分からなかったのです。

 すると、誰かが「火が弱まったみたいだ!」と叫んだので、アンのお手柄だと皆気が付いたのです。「どうして、あんな危険なことをしたの?」と心配するマニラ(養母)に「火は酸素で強まるの。だから窓を閉めたの」とアンは教えてあげるのです。それにはみんなびっくりです。「アンは本当に物知りで賢い、それに勇敢でもある」と村の人たちに称賛されます。これで、風変わりで汚らわしい子のレッテルが剥がれて、みんなに受け入れてもらえそうな希望が出てきました。そして、「どこでそんなことを知ったの?」と聞かれると、孤児院にあった「消火の手引き」に書いてあったと答えるので、またビックリです読むものがそれしかなかったので、何度も読んでいるうちに覚えてしまったみたいです。

辛い現実を乗り越えるために想像力が役立つ

 アンの空想好きは辛い現実を乗り越えるための支えになっているようです。いわゆる、現実逃避のようなもので、「現実を直視せよ」と現代なら怒られそうですがアンの場合は必須です。だから「私は絶対悪魔の罠には落ちない」ときっぱり言いきり、辛い毎日でも希望を失わず、決して絶望することはなかったのです。アンの頭の中には高貴な王女がいて、想像の世界を自由に動き回ってたくさんの物語を紡ぎ出すのです。本好きなせいか、同世代の子供には難解な言葉を連発してしまうので、みんな目を白黒させて戸惑ってしまいます。「この子は変な子、何を言っているのかわからない」と誤解されてしまうのです。

 無理もありません、私だって最初は、どこだかの王女の話を堂々をする彼女を「この子は頭がおかしいのでは」と思って呆れかえっていました。そのうえ、おしゃべりで、あまりにもペラペラしゃべるので、その口にチャックをつけたいとさえ思ったほどです。でも今になってみると、それは何の後ろ盾もない女の子の、精一杯の自己防衛だったのだと気づかされました。

あなたは何になりたいの?

 ある日、アンは自分の家に手伝いにやってきているフランス人の少年に将来のことを尋ねます。男の子は女の子と違って何でもできるから羨ましいと言い、将来は探検隊の隊長とか地図の制作者とか飛行士とかになるのはどうかと勧めるのです。でも彼にはアンが何を言っているのかさえ分からないのです。彼の兄たちは鍛冶屋や精肉店で働いているのですが自分でなりたくてその職業についているわけではないからです。だから自分が何になりたいかなんて考えたことなどないのです。

 実はその時アンは学校に行くのが嫌で、学校に行かなくてもなれる職業を考え始めていたのです。自分は物語を作るのが得意なので、「そうだ、作家なら学校は関係ないと思うわ」と目を輝かせるのでした。それで、「意味が分からないよ」と言う少年に対しても「あなたは諦めているようだけど、いくらでも道はあると思うの」と励ますのを忘れませんでした。

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