人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

闘牛士の赤い布

今週のお題「赤いもの」

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▲スペインのロンダにある象徴的な建築物、ヌエボ橋。NHKまいにちスペイン語テキストから。

偶然今読んでいる本に、闘牛の話が出てきて

 あれはいつだったか思いだせないくらい前、テレビのクイズ番組で闘牛に関する問題が出ました。それは牛は闘牛士が目の前でひらひらさせるあの真っ赤な布に本当に興奮するのだろうか、と言うようなことでした。果たして牛は赤色を見ると怒り狂ったようになるのだろうか。その回答はたしか、牛は赤色に反応するのではなく、目の前の視界を遮るものに反応するのだと言うことでした。ただ、なにぶん昔の記憶なので定かではないのですが・・・。

 こんなことをなぜ思い出したのかと言うと、まさに今読んでいる本が原因です。それはヒュー・ロフティングの「ドリトル先生航海記」で、物語の中でちょうど闘牛の試合が開催されるところなのです。食料補給と諸事情のために立ち寄った島はスペイン領だったため、闘牛は島民に大変人気がありました。でも、ドリトル先生は動物愛好家なので、闘牛などという野蛮な行為は許しがたい事でした。闘牛を知らない助手のスタビンズ君に先生は次のように説明しました。「まず牛をいじめて火のように怒らせ、闘牛場に追い込む。すると赤い布を持った男が出てきて、その布を振ってから逃げる。次に年老いてやせこけた馬を幾匹もさくに追い込んで、牛につき殺させて散々疲れさせる。そして、息も絶え絶えになった時分に、闘牛士が現れてその牛を殺してしまうのだ」

 このようなことが毎週日曜に行われており、6頭の牛と同じ数の馬を殺してしまう、全く残酷な見世物なのだとドリトル先生は激怒しました。そこで先生は闘牛の主催者とある賭けをして、先生が勝ったら今後一切闘牛はやらないと約束させてしまうのです。その方法とは動物と話ができる先生ならではの、奇抜なというか、素晴らしいというか、子供が笑い転げる、いいえ大人でもワクワクしてしまう作戦でした。それはあらかじめ牛たちと密談をして、それぞれの役割を演じさせて先生に勝たせるようにお芝居をすることでした。島で一番人気を誇る闘牛士と先生が対決して、牛を降参させた方が勝ちになります。詳しい顛末は実際読んでみなければわからないのですが、ハラハラドキドキで痛快です。ただ、先生は結果的に殺されるはずだった数頭の牛と馬を救ったのにも関わらず、島民から憎まれて島を命からがら逃げ出さなくてはなりませんでした。

 なぜなら、闘牛の開催は島民にとっての一番の楽しみ?で、先生は彼らの楽しみを奪った悪人なのでした。考えてみると、動物が殺されるのを見て楽しむなんて、なんだかおかしな話です。男性のみならず、女性も子供たちさえも熱をあげて夢中になってしまうのですから、空恐ろしいとも言えます。その時の彼らには動物は息をしていない、ただのものとしか思えないのでしょう。先生は日頃からなんて人間は自分勝手で残酷な生き物なのだろうと嘆いているのです。どうにもならない現実はさておき、ドリトル先生の柔軟な思考法は斬新です。常識でがんじがらめで身動きできなくなっている私に「もっと自由でいいのだよ」と教えてくれました。

 さて、冒頭にスペインのロンダの写真を載せたのは、かの地がなんと闘牛発祥の地だからです。最初はロンダは断崖絶壁で有名な観光地だとしか知りませんでした。NHKスペイン語講座のストーリーに出て来る主人公のキョウコさんが一番思い出に残る場所にあげた地名でもありました。実際行ってみると、町には立派な闘牛場があって、でも今では使われていないのですが、見学はできるそうです。私が行った時は残念ながら閉館していて、中の様子を見ることは叶いませんでした。ロンダの町はこじんまりして落ち着いていて、私自身はとても気に入りました。特に商店街にある土産物屋のショーウインドウはいつまでも眺めていたいほどで面白いものがたくさんあります。以下にスマホで撮った写真を載せておきます。

 

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