人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

家で揚げ物、していますか?

予想以上に皆揚げ物が好き!なのに驚く

 いつもテレビ番組を見ていて、揚げ物、特にから揚げが人気があることは知っていた。だが、実際は皆家で揚げ物をしているのだろうか。あれはボリュームがあって、揚げてしまえば、はいそれまでよ、と後は面倒臭くなくていい、と思っていた。油の処理が面倒だとか、台所が汚れるとか、そんなことはたいして気にならなかった。だが、年のせいか、何年か前から胃が痛くなりだした。要するに、から揚げや、魚のフライなどの揚げ物の脂に身体が拒否反応を示すようになった。食べたいのはやまやまだが、具合が悪くなるので、やめておこうと諦めた。今では、揚げ物を食べるのは何か月に一回ぐらいだ。それも、自分で揚げるのではなくて、スーパーにある出来合いのものを買ってきて済まして終り。たいして、不満に思うわけでもなく、淡々と日々が過ぎていく。

 それでも、時折、無性に揚げ物が食べたくなる時がある。スーパーに行くと、普段は素通りする総菜コーナーに直行し、失敗しないようにとまるで獲物でも見るように目を凝らし、なんだか良さそうに思えるものに手を伸ばして、カゴに入れる。正直言って、美味しくない時もあるが、人が作ったものなのだから仕方がない。商売なのだから、油だって、そんなにしょっちゅう取り換えるわけにはいかないだろうし、などとどうでもいいことをあれこれ考える。それよりも、重大なことは、自分の胃が揚げ物にもはや適応しなくなっていることだ。実を言うと、スーパーで見かけた美味しそうな焼き豚にさえ、私の胃は敏感に反応し、胃もたれしたため途中で食べるのをやめた。

 自慢にもならないが、私の胃は脂っこいものには拒絶反応を起こす。時にはそれがとんでもなく苦業でもあるかのように感じてしまうことがある。例えば、食べる物に選択肢などない時、できれば食べたくないと思っても、四の五の言わず食べるしかない時がそれだ。以前、スペインのロンダに行ったことがあって、かの地は断崖絶壁で有名な観光地だった。それなら、食べる物には困らないだろうと楽観的に考えていた。ところが、街中にはレストランがあちこちにあるにはあったが、どこもガランとしていて、人の姿がない。気軽に入れる店がなかった。あちこち見て回ったが、人で賑わっている店は、なんとマグドナルドだけだった。日本でも滅多に行かないマクドナルドに入った。

 ”郷に入っては郷に従え”とばかりに周りにいる皆の真似をして、ハンバーガーに噛りついた。ふ~ん、意外に美味しいじゃない、と予想もしなかったことを呟く。最初の好印象に気を良くした私は、調子に乗って3日間マックに通った。その結果、当然のことながら、胃がおかしくなった。すぐに後悔したが、後の祭りだ。本当なら、こんな時日本のコメがあればよかったのだが、すでに食べ終わって残っていなかった。日本のコメがあればなあ、などと無駄なことを思う。スペインではあまり必要ないと豪語していたのはどこの誰だっけ、と自分で自分を揶揄する。それくらいスペインは美味しいものが気軽に食べられる場所だった、私にとっては。

 冒頭の揚げ物の話に戻ると、先日の朝日新聞のアンケートには驚きを隠せなかった。「家で揚げ物、していますか」という質問だったが、なんと54%の人が「はい」と答えていたからだ。想像するに、アンケート対象者の年齢はおそらく50代以上だろう。となると、年齢的には私と同類の脂物が苦手な方が多いのではというステレオタイプな思考回路が、一気に吹っ飛んだ。年齢がどうとか、胃がもたれるとか、そんなことはどうでもいいのだ。要するに、揚げ物がやっぱり好きで食べたいらしい。”好き”に年齢は関係ないのだ。考えてみると、脂が苦手の私も、たまにカキフライだけはどうしようもなく食べたくなる。カラッと揚げてある、身の詰まったカキフライを口に放りこんで味合う時は至福の瞬間だ。

mikonacolon