人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

朝から楽しすぎる中国語講座

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劉セイラさんの底抜けの明るさに脱帽

 2019年の11月からずうっとNHK中国語講座を聞いています。きっかけとなったのは姉に「台湾に一緒に旅行に行こう」と誘われたことでした。3泊4日の旅行の計画は私の役目となり、当然言葉も少しはできなければと思いました。航空会社のサイトを検索してみると、台湾は人気観光地らしくフライトがすべて満席でした。姉はできるだけ早く行きたいと望むのですが無理でした。それに台風シーズンを避けて、様々な事情を考慮するとなると、結局半年後がベストということになりました。私は旅行の準備と中国語の勉強で忙しくなりました。NHK中国語講座を聞き始めたら、その時の講師は高木美鳥先生でした。その頃は半年後に迫った旅行のために何とかしようと必死でした。言葉の勉強というのは必要に迫られるとメラメラとやる気が湧いてくるものなのです。実際に現地に行ってみると、「しまった!もっとまじめにやっておけばよかった」と後悔することはよくあります。それなのに、帰国すると「どうしちゃったの?」というくらいケロリと困った時のことを忘れてしまうのです。それでも完璧でなくてもいい、ゼロよりも1の方がまだましという思いで勉強を続けてきました。

 台湾から帰ってきて、一時はやる気が無くなったこともありました。でも私の中で「中国語はなかなか面白いじゃない」というささやかな気持ちも生まれていたのです。この「面白い」という気持ちは、笑いたくなるような面白いではなくて、あくまでも興味深いとか奥が深いという言う意味でした。今までは、コツコツと真面目に聞いたり、あるいは、聞かなかったりの不真面目なリスナーだったのですが、楽しいと感じたことはなかったように思います。言葉の勉強を楽しいと感じるのは、基礎の習得ができていて、余裕があるからこそなのです。現実は”言うは易く行うは難し”でそこのレベルまで到達するのは難しいのです。でも、はっきり言って目的のために自分を追い込んで、辛い思いをしたくはありません。今は適当でもいいから、まずは続けていくしかない、そうすればきっと何かいいことがあるのではと思っているのです。

 これまでの中国語の講師の先生方は皆さん熱心で真面目な方ばかりでした。それで今年度の講座もいつもと変わりなく番組が進むものだとばかり思っていたのです。ところが、放送を聞いてみて仰天しました。普通は講師が冒頭で挨拶するのに、番組の第一声は「番組ホストを務める劉セイラです」という女性の明るい声でした。そして、続けてもうひとりのホストである劉鍾徳(りゅうしょうとく)さんの紹介をしました。この劉さんという男性は前回の佐々木勲人先生の講座のときのゲストでした。この声優で低音が素敵な男性が今回は「劉くん」になっていたのには思わず笑ってしまいました。最後にやっと今回の講師である丸尾誠先生の挨拶が聞こえました。

 NHKのテキストを開いて、丸尾先生の写真を見たら、第一印象はいかにも真面目そうで、なんだか少し怖そうは初老の男性に思えてきました。ところが、聞けば聞くほど、回数を重ねるごとに、丸尾先生の実像が木の皮がポロポロと剥がれるよう露呈してきたのです。それはたぶんセイラさんの天真爛漫さと否定的なことを言われても意に介さない明るさのせいなのです。番組の最後に雑談をする時間があるのですが、セイラさんが話題を振る役で、あとの二人と自由に意見を交わします。

 ある日のテーマは「最近、願いがかなったこと」でした。丸尾先生はその質問に「中国語をこうやって多くの人に教えられるようになったこと」だと答えたのです。そしたらあとの二人が「じゃあ、ずうっと幸せが続いているのですね」と羨ましそうに言いました。すると、先生は「・・・というのはあくまで放送用です」などと信じられない発言をしたのでした。セイラさんと劉くんは爆笑です。それからは先生の常日頃溜っている不満がさく裂しました。本当はもっといい車が買いたいとか、海外研修に行きたいのに行けないとか、先生の願いは切りがないようです。「願い事なんてかないませんよ」、それが先生の結論でした。長年語学講座を聞いてきましたが、こんなにも赤裸々に本音を語る方はいませんでした。正直「こんなことを言っていいの?」とドキドキしてしまいました。明るく、やる気を出してもらえるようなことを言わなければならないのに、つい本音がでてしまったみたいですが、これは失言ではないと思います。むしろ、先生に親近感さえ湧いてきましたが、セイラさんの力が凄いのか、それとも先生の素顔が出ただけなのか。こんなふうに毎朝3人で何やら楽しそうに番組は進行していくのでした。

 前回の講座では影が薄かった劉くんも、今回の講座では大活躍で、その魅力を余すところなく聞かせてくれています。声優という職業柄ほれぼれするいい声で、中国語のみならず、日本語でも発言しています。3人で雑談をするときは、時々拙い日本語で喋るときもあるのですが、話題が豊富で面白い人です。自分にとっての「危機一髪」について聞かれると、劉くんには危機一髪という文字はないのだというのです。学生の時に間違いなく今からでは遅刻という状況になったことがありました。そんな時彼はすぐに「もう諦めて、ゆっくりしよう」などと思って慌てることはなかったそうです。実に肝が据わっているとしか言えない性格のようで、知れば知るほど魅力的な人なのです。

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