人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

歯科医院での発言に仰天

歯ブラシが汚れを押し込んでいる!?

 昨日歯科医院に行って、診察台に座って待っていたら、隣から年配らしき男性の患者さんと先生の話し声が聞こえてきた。カーテンの向こうではこんなやり取りがされていた。

「これで今日の治療は終わりです。何かご質問はありますか。あるいはどこか気になるところとか」

「ええっと、今は特にないのですが・・・」

聞き耳を立てていたわけではないが、普通この展開だと、いつものように先生が「じゃあ、今日はこれで。お疲れさまでした」などと言うのが定番だった。もうこの人は帰るだろうから、次は私の番だなあ、などと思っていた。

 ところが、そのあとで男性は意外なことを口にした。その男性は続けて「そうだ、先生、どうも私は歯ブラシで汚れを奥に押し込んでいるような気がするんですけど」などと言うのだ。この発言にはガ~ンと衝撃を受けた。ええ~、歯ブラシが汚れを奥に押し付けているだなんて、どういうこと!?そんなことがあるのだろうか?そんなこと、ありえないし、想像したこともなかった。だが、同時にそんな発想が自分の中に全くないことが少し恥ずかしかった。ありえないことだが、人によってはそんな考え方もあり得るということを認めることができないのだ。物事を柔軟に考えられない、ステレオタイプで石頭な人間と言ってもいい。

 予想外な発言で、先生と男性との会話は私が思ったより長引いた。

「そんなことはないと思いますけど、今どんな歯ブラシをお使いですか」

「どう考えても、今の歯ブラシがあまり良くない気がするんです」

「じゃあ、もしよかったら、僕がもう3年以上使っている歯ブラシに変えてみませんか。当院にも置いてあるんですけど、1本330円のシステマの製品なんです」

 先生に勧められて、男性は歯ブラシを購入することにした。すると「ちょっと、歯ブラシを持ってきて」と先生が受付にいる歯科衛生士に声をかけた。それから、歯ブラシを袋から出して、男性に「ほら、見てください。毛先が細くなっていますよね。それがいいんですよ。歯周ポケットに入って汚れを取ってくれるんです」と説明する。

次に、先生はその歯ブラシを使って歯磨き指導を始めた。診察台を倒し、男性に手鏡を渡して、歯ブラシを歯に当てて、磨き方を丁寧に教える。「歯ブラシの向きはだいたい斜め45度にして、小刻みに動かすんです。まあ、前歯はブラシを立てて磨いてもいいんですけどね」などとやけに熱心なので驚いた。

 今ままで長いことこの歯科医院に通っているが、歯磨き指導などされたことは一度もない。それで、ようやく気が付いた、歯ブラシを買えば、歯磨き指導はおまけで付いてくるのだということに。プラス330円で歯科医のお墨付きの歯ブラシが買えて、しかも歯磨き指導までして貰えるなんてまさに一石二鳥だ。そんなことになっているとは全く知らなかった。「○○さん(その男性のこと)はちゃんと歯磨きができていますから、心配いりません」などと言われて、男性は安心したに違いない。歯磨き指導に使った歯ブラシを消毒して渡され、納得して帰って行った。

 考えてみると、以前にも歯の磨き方の話になったこともあったような気がするが、チラッと触れただけで、ご指導がなかったのはこちらの情熱が足りなかったらしい。正確に言うと、「らしい」ではなくてその通りだった。もし、その時に歯ブラシを購入していれば、先生も懇切丁寧にご指導くださったに違いない。この歯科医院の予約時間は15分刻みなのだが、実際の診療時間は5分、いや長くて10分程度だろう。それでもあの男性のようにアプローチすれば、さらなるご指導を受けられるのだ。

 以前のブログで今の歯医者をやめたいと書いたが、未だに次が見つからず、仕方がないのでそのまま現状維持の状態だ。だいたいが、新しいところは突然行っても、予約が取れないことが多い。それで偶然空いていて、診てもらえる歯科医院に行くしかないのだが、歯が痛いとかでもない限り、すぐには治療してもらえない。なんとも悩ましい事態だ。

mikonacolon