人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

東京新聞のPR版を見たら

 

最初はふ~んと軽い気持ち、でもだんだん惹き込まれて

 先日玄関のドアポストに新聞が入っていた。それは東京新聞のPR版で、最初は「何これ?」ぐらいの気持ちだった。わざわざ見る気にもならずに、とりあえずそこらへんに放置して置いた。それを昨日たまたまゴミの日だったので、一緒に捨てようとして、少しくらいは見てからにしようと思った。そしたら、「ネズミが地雷除去に貢献」!?という文字が目に飛び込んで来た。大量に地雷が埋められたままのカンボジアで、5年間活躍し、百個を超える地雷や爆発物を見つけたネズミが死んだという話だった。そのネズミはアフリカオニネズミの「マガワ」で、体長70センチで「訓練によって爆発物の化学物質をかぎわけることができた」それに、「体重が軽いおかげで、地雷の上を走っても、爆発しなかった」のだ。「人間なら4日はかかる、テニスコートほどの範囲の捜索がマガワなら30分」という素晴らしい能力をもったネズミだった。

 ネズミが地雷を発見してくれるなんて、初めて知って仰天した。「こうしたネズミはカンボジアのほか、アンゴラモザンビークなどでも活躍している」そうだ。さらに特筆すべきことは、「ネズミはどうやら仲間おもいらしい」ということ。「海外での研究によると、仲間のネズミが閉じ込められているのを見れば、救出しようと試みる」というから、人間よりよっぽど思いやりがある。人間のように、自分には関係ないからと、知らんぷりはできない生き物らしい。赤の他人の不幸まで背負えないとばかりに、他人事で済ませる。自分だけ幸せならいいだなんて利己的な考えで自分を守ることでしか生きられない。人間は何とも情けない生き物だ。

 この記事を読んで、ネズミに対する見方が一変した。ネズミと一口に言っても、いろんなネズミがいるものだ。まさか人間の命を救うために働いているネズミがいるとは夢にも思わなかった。この記事は、日経新聞で言えば、『春秋』で、朝日新聞なら『天声人語』に相当する『筆洗』というコラムに書かれていた。新聞をゴミに出そうとして、予想外の展開になり、思わぬ発見をしたわけだ。

 そうなると、自然と他のページも見たくなり、玄関の脇に座り込んでしばし熱中してしまう。「楽しむ」と書かれた紙面では4コマ漫画の『ねえ、ぴよちゃん』が載っていた。これは実家で取っている新聞にも載っていたから、見たことがあった。主人公はぴよちゃんという小学生の女の子で、又吉という猫を飼っている。ぴよちゃんは又吉が命というくらい大好きで、毎回ほのぼのとしたエピソードが楽しい。何と言っても、絵が可愛らしくて、ほんのひと時、見ているだけで暖かい気持ちになれるのが魅力といえる。例えるなら、喉の渇きを潤す清涼飲料水のようなもので、いつの間にかリフレッシュさせてくれるのだ。一日の中での小さな、ささやかな気分転換の役割をしてくれる。正確に表現すると、役割だなんて、そんなたいそうなことではなくて、ただ漫画を見ていると楽しいからそうしているだけなのだが。

 それから、毎週金曜日には『喫茶アネモネ』というシュールな絵柄の漫画も連載されている。こちらは絵柄がどうこうというよりも、漫画のネタで勝負している感がある。隣にあるコーヒー専門店が休みだと、そこを目指してきたコーヒー好きのお客さんがアネモネに流れてくることが多い。そうなると、マスターに第三者には考えられないような圧がかかって、その背中は見るからにコーヒーを出すことを拒否している。もちろん、マスターは何も言わず耐えている。だが、お客はそんな店の雰囲気を敏感に感じ取り、コーヒーという言葉を口元で止めて、思わず、「コーラ、ください」と言ってしまうのだ。コーラを一気飲みしたお客はそそくさと逃げるようにして帰って行き、漫画はお終いだ。

 実家のお嫁さんにメールしたら、「喫茶アネモネは絵が汚いから、嫌いだから見ない」と返ってきた。それはまあその通りなのだが、あの漫画は絵が売りではなくて、中身の濃さがミソでしょうと言ったところで通じるわけないか。反論せずにそのままにしておいた。

mikonacolon