人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

動画サービスを見る暇がない

それどころじゃないことに気が付いた

 昨日パリに行こうと決めた、と書いたらなんだかそわそわしてきた。暖かくなったら行動するとも書いた気もするが、それだと今のうちにしておかなければならないことがある。ズバリそれはフランス語の勉強で、今では動詞の活用さえおぼつかない。ましてや簡単な文を作ることさえ至難の業だ。旅行に必須の数字も何とか口では言えるが、聞き取りとなると怪しいものだ。だが、パリへの旅行を実現させるための第一歩は言葉の扉を開けることだ。正直言って、少しめんどくさいが、そうでもしなければ現地に行って困ることは目に見えている。頭の中で現地に行った場面をシュミレーションしてみると、やらざるを得ないのだ。

 ”郷に入っては郷に従え”でやはり現地の言葉がわかると言うことは大事な事で、精神安定剤の役目もしてくれる。そして、言葉を勉強しているうちに、いつの間にか”行く気”もどんどん高まってきて、楽しくなる。心の中で、「大丈夫かなあ」という不安が払拭されて、「何とかなる」に変わったとき、旅行は実現可能なものになる。

 でも、ちょっと待って、そうなると、動画サービスを見る時間がない。確かつい最近まで、中国の動画サービスのアイチーイーに登録したいとかなんとか言っていたではないか。見たいドラマがあって、VIP会員にならないと見られない。でもクレジットカードの期限が来月で切れるので、面倒なことになりそうだから今すぐはできない。それで新しいカードが届くのを首を長くして待っているが一向に来ない。そんな状況で、見るものがないので、もしかしたらと3月で終了するGAOのサイトを覗いてみた。そしたらチャン・ツィイーのドラマ『上陽賦』がやっていていたので、今はそれを見ているところだった。このドラマのことは新聞でDVDの広告を見て知った。なぜこのドラマに注目するかと言うと、チャン・ツィイーが結構好きな女優であることと、無料で見れることにお得感を感じるからだ。

 はっきり言うと、U-NEXTでも見れるが、最近のドラマなのでサブスクではなくて有料になっている。たしか料金が一話につき220円で、60話ぐらいあると思うので最後まで見たら一万円を超してしまう。それを無料で見られるのだから見逃す手はないと思っていた。だが、今の私はドラマのことはどうでもよくなった。受け身でただ見ているだけのドラマは退屈に思えてきて、パリへの旅行の魅力には到底かなわない。考えてみると、コロナが流行る前は動画サービスにたいして依存はしていなかった。

 クレジットカードを待つ間、偶然にもフィンランド航空で旅する弾丸トラベラーの人のことをテレビ番組を見て知ってしまった。それがきっかけで私の心に突然火がついた。ぼんやりとしていたものが、たちまち具体的な様相を帯びて、頭の中にどんどん広がっていく。今まで存在しなかった目標というものが出来上がった。目標だなんて、なんて懐かしい言葉なのだろう。3年に及ぶコロナ禍ではその日その日を何とか生きるのに精いっぱいで、目の前のその先には靄がかかっていて、見えなかった。普通なら飽き飽きしてしまうような毎日のルーティンワークをきっちりとこなすことで何とか生きてこられた。心を病むことなく荒れることもなく平穏に生きてこられたのは、何の変哲もなく、楽しくもないがどうしてもやらなければならない数々のことがあったおかげだ。変化はタブーだった。変化など望んだらたちまち奈落の底に突き落とされるような状況だった。だから息をひそめるようにして暮らしてきた、自身の身の丈以上のことを望まないように。

 だが、現在では嘘のように世界が変わったと感じる。すでに私の頭の中は今年行こうとしている旅行のことで溢れかえっている。パリに行くとなると、英語のみならず、フランス語の勉強もしなければならないのに、あれこれ考えると時間が足りない。どうせならこんな時のことを考えて、コロナ禍の3年間にやっておけばよかったのにと愚かな私は悔しがる。悲しいかな、過去の時間は取り戻せるわけなどない。とりあえず、中国語の勉強はしてはいたが、果たして本気出してやっていたかは怪しいものだ。身が入らず空蝉のような状態で、ポーズだけ取り繕って、中身がなかったのではないか。目標がないとそんなものなのである、あくまで怠け者の私が思うには。

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