人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ドラマはひき逃げから始まった

 

冒頭からひやひやさせられっぱなし

 何の気なしに録画の予約をしたドラマを見ていたら、冒頭から驚かされた。なぜかと言うと、車を運転していた女性が、先を急ぐあまり、人をはねてしまったからだ。彼女は大事な用があって、列車に乗り遅れまいとして、やらかしてしまったらしい。だが、そんな時でも、一旦は車を停めて、様子を見に行くのが普通だ。あるいは、自分がやったことの恐ろしさに呆然としながら、動けなくなってしまってもおかしくない。だが、彼女ときたら、ありえないことに、何もなかったのかのように、車を飛ばして走り去ったのだ。その様子を逐一見ていた私は、「こんなことをしてどうするの?」とこちらがひやひやしてしまった。何という始まり方なのだろう、このドラマは。

 彼女がひき逃げして、一目参に向かった先は、仲間が待つ列車の駅だった。何事もなかったかのように、平静を装いながら、仲間との再会を喜んでいた。仲間は女性5人で全員中年の女性のグループだった。すぐに列車に乗り込んだが、彼女の様子がおかしいことに仲間のひとりが気付いた。「どうしよう、夫をひいちゃったのよ。でも、ちょっと見たら、動いてたから、死んではいないみたい」などと、信じられないことを口走る彼女に、「だったら、夫に電話して確かめるべきよ」と忠告する。最初のうちは、ダメ、ダメ、そんなこと怖くてとてもできない、などと呆れたことを言ってはいたが、勇気を振り絞って電話してみると、電話に出たのは彼女の娘だった。

 つまり、夫はケガをして病院に運ばれ、娘は知らせを聞いて驚いてすっ飛んできたのだ。彼女は夫と電話で話して、ケガがたいしたことがないと知り安堵する。幸いなことに、夫は自分が、自分の妻に車でひかれたとはまだ気づいていないようだった。だが、察するところ、この夫婦には亀裂が生じているようだ。愛人がいるらしく、小さな子供までいて、偶然3人で会っているところを目撃したことが事故の発端だった。動揺して、車を発進させたら、突然そこに夫が飛び出してきた。それで、ひいてしまったと言うわけだった。あなたは何も悪くないと、皆慰めてくれるが、その場から逃げたことだけはするべきではなかった。本当は仲間に何も打ち明けることなく、そのまま旅を続けようと思ってはいたが、やはりそれはできないと思い直した。

 実は彼女が急いで仲間のところに行こうとしていたのには理由があった。彼女のグループ6人はある目的のため、アルプスに登山に行こうとしていた。別に、ドラマの中にそんな名称は一切出てこないが、その映像が、山々の雄大で、素晴らしい景色が私に絶対そうだと訴えかけてくるのだった。遅くなったが、このドラマのタイトルはNHKで日曜日の夜11時から放送されている『ワケありな6人の女たち』で、フランス発のドラマらしい。

 そして、特筆すべきは6人の彼女たちの共通点で、何と皆全員がん患者だった。皆同じ境遇で悩みを抱えているからか、皆とても仲がいいし、お互いに思いやりもある。もしも、がん患者でなかったとしたら、あんなにわかり合えて、お互いに優しくできるかと言ったら、大いに疑問が残る。皆運命共同体だから、連帯意識があるからこそ、お互いに励まし合いながら、前へ進めるのだ。がん患者であっても,私は一人じゃないと思えるのだ。

 だが、一方で、今のところがん患者ではない私は、がんになることが怖ろしくて堪らない。それに私が見ているがん患者はドラマの中での人たちであって、現実ではないからで、こんな言い方は好ましくないが、自分とは無縁の世界なのだ。もしも私ががんになって、このドラマを見たとしたら、どう感じるだろうか、きっと別世界にいるように錯覚するだろうか。

 いずれにせよ、このドラマからは、同じ境遇から生まれる連帯感と言うか、6人の絆は揺るぎないと言うか、見ていて羨ましく感じるくらいの感銘を受けている。

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