人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ホテル探しに予想外に苦戦

簡単に見つかるはず、だが現実は・・・

 サラゴサでのアクシデントも何なく乗り越えて、無事マドリードのアトーチャ駅に着いた。”人の顔”がごろんと転がっている広場を横切るとき、以前ブログで書いた日本人カップルの若い女性がひとりでぽつんと立っているのが見えた。相変わらず呑気で、ぼお~っとしている様子。おそらく連れの男性を待っているのか、と勝手に想像する。いやいや、今は他人のことを気にかけている場合ではない。予約したホテルを探さなきゃと歩き出す。5年前に一度来たことがあるので、迷うことはないと楽観していたが、いざ現地に着いたら、やはり戸惑う。なぜなら目の前にある景色と、ガイドブックの地図がどうしても頭の中で一致しないからだ。もちろん頼りにするのは地図しかないのだが、それが絶対的なものでもないと思い知らされることが多々ある。そうなったら、自分の足で歩いてみて、身体で覚えるしかない。マドリード駅前も地図に載っているようには簡単ではなく、混沌としていて、道が幾つもあり、かなりわかりづらい。

 それでも、駅前には私のような旅行者の心強い味方となってくれる目印があった。それは、プラド通りに沿いにある王立植物園で、その先にはあの有名はプラド美術館がある。駅前に立って、大通りの向かい側に目をやると、緑が生い茂る一角があった。間違いない、あれが王立植物園だ、と確信した私は、通りを渡って、プラド通りに沿ってどんどん歩いて行く。今回予約したホテルは駅からは遠いが、観光名所からほど近い場所にあった。思えば、5年前は調子に乗って、駅前にあるホテルのテラス付きの部屋に泊まってしまい、後から、やりすぎだったと反省した。なので、今回は控えめにリーズナブルなホテルに泊まることにした。要するに、駅前から離れれば、料金は安くなるものらしい。便利さよりも経済的なホテルを選択し、重い荷物を持って30分も歩くことなど、気にしないはずだった。

 それに旅行の計画の段階では、地図上で見ると、たいして時間はかからないと思われたが、実際はとても長く感じた。それなら、タクシーを使ったらいいと思われるかも知れないが、あの駅前のとんでもない渋滞を目撃したら、歩いた方がましと誰もが思うだろう。まあ、この時の私は、重い荷物のせいで、大した距離でなくても、その何倍にも感じたのだから無理もない。プラド通りを進むと、威厳のあるライオンの銅像が印象的な噴水のある広場に出た。その斜め向かいにはティッセン・ボルネミッサ美術館があり、さらに行くと国会議事堂が見えてくる。肝心のホテルはそこからすぐところにあるはずだった。「あるはず」と書いたのは、Googleの航空写真でも確認したにもかかわらず、実際には見当違いだったからだ。

 真っすぐ行けば、簡単に見つかると思ったが見つからない。もちろん方角的に間違っていない、その辺りに間違いないのになぜか見つからない、そんなやるせなさを抱えながらうろうろするしかない。こんなことならタクシーにでも乗った方がよかったと、今更ながら後悔したが、そんなことを言っても何も解決などしやしない。業を煮やした私は、何を思ったか、あのライオンのいる広場まで戻った。すると、交差点にタクシーが3台ほど停まっているのを見つけた。タクシー乗り場らしい。乗せてもらおうと声をかけたが、ホテルの予約確認書を見せると、運転手の男性は「ここなら、すぐそこだよ」と私が来た方向を指さした。タクシーに乗るまでもない、と言いたいのだ。

 タクシーに断られてしまった私は、また来た道を戻ってホテルを探すしかなくなった。予約したホテルの名前は「ホテル・アギール」で、これは後からわかったことだが、遠くからでも、目立つ大きな看板があったにも関わらず、私は全然気づいていなかった。それは目の前の景色しか見ていなくて、頭上を見上げるということをしなかったからだ。

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