人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

勉強法を変えてみたら

効率の悪い勉強法だが、なぜか楽しい

 恥ずかしいほどの英語力の私でも、NHKのラジオ英会話を何とかテキストなしで、勉強できている。なぜテキストを買っていないかと言うと、テキストだけ溜まっても、肝心の会話力はさっぱり向上しないからだ。それにテキストがあれば、勉強がスムーズに進むかと言うと、そんなことはなく、全く逆である。要するに、何でもテキストに書いてあるからと高をくくり、安心して、わかった気になっているだけだ。そして、そのツケは実際に現地に行ったときに払わなければならなくなる。

 最初からはっきりしていることは、一番何が必要かと言うと、会話力とリスニング力である。少なくとも、旅行で使いたいと思う私にとっては。それで、嫌々ながら、ICレコーダーに録りためてあったNHKのラジオ英会話を音だけに頼って聞いてみることにした。どうせ三日坊主に終わるだろうと、たいして期待もしなかったのに、なんと1月中旬から始めて、今現在も続いているのには我ながら、驚いている。何しろ、音だけにしかすがれないから、何度も何度も聞くしかない。昔の記憶を頼りに単語を類推し、辞書を引きまくる。辞書が使い物にならないとわかると、今度はスマホに助けを求める。それでも、ネイティブスピーカーの使う、生き生きした表現にたどり着けない時がある。そんなときは、今まで、こんなことも知らなくて、何やって来たんだと、自分で自分を哀れな奴だと笑ってやりたくなる。

 すぐに、仕方ないか、ネイティブでもないのだから、と緩く考える。そんなときは「嘆いていても、どうにもなりません。勉強を続けるしかないのですよ」というラジオ講座の中国語の講師の言葉をいつも思い出す。とにかく、嫌になって落ち込んでいる暇があったら、四の五の言わずやれ、と言うことなのだろう。その言葉を素直に受け取って、生まれ変わったような新鮮な気持ちで取り組んでいる。パーフェクトなんて、ハナから目指してはいない。旅行で困らないようにという目的はあるが、具体的な目標なんて何もない。ただ、楽しければそれでいいという考え方で、勉強が純粋に楽しいと思えることに目から鱗だ。

 ただ、音だけに頼る英会話勉強法は、とにかく効率が悪い。たった!?15分の番組を聞くのに何倍もの時間を要するからだ。嫌々ながら、おっかなびっくりの最初の一歩なんて、驚くほどの膨大な時間を費やしたが、意外にも、試行錯誤が楽しかった。コスパ優先のこの世の中にあって、効率が怖ろしく悪いが、初めは意味不明の音でしかなかった単語が、次第に意味を持ったものに変わってくる。そうなると、まるで宝物を見つけたかのように、喜びが溢れてくるのを感じた。そもそも、勉強と言うのは知らないことを知る行為なのだから、本来楽しいものであるべきなのだ。なのに、そんな気持ちになったことなど、自分の人生において一度もなかった。

 考えてみると、今までは語学の勉強はしなければならないことで、決して楽しいことではなかった気がする。それがまことに効率の悪い勉強法によって、一転し、青天の霹靂ともいえる景色が目の前に見えてきた。かと言って、私の英語力が劇的に向上したわけでもない。それなのに、いつも上機嫌でいられるのはなぜなのか。それは毎日番組を聞きながら、冷や汗をかくのではなく、笑ってばかりいるからだ。それに今気づいたのだが、最近では以前ほどは時間がかからなくなり、英語で文を作ることに全く抵抗は無くなった。これって、”習うより慣れろ”ということなのだろうか。私の場合は、敢えて効率を捨ててみたら、結果的に思わぬギフトを貰ったと言えるだろう。すっかり忘れていたことだが、言葉は生き物だから、聞いてわかるのが一番だ。

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