人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

近所の家に泥棒が入って

ミチコさんの発言に唖然として

 今回の帰省で、一番驚いたのは、近所の家に泥棒が入ったとわかったときだった。あの日、いつものように喫茶店のモーニングから帰って、家でテレビを見ていた。すると、チャイムが鳴り、誰かが来たらしい。義姉のミチコさんが玄関で応対している。話をする様子から、近所の人ではないらしい。あとから聞いて仰天した、来訪者は何と警察の人だった。なんでも、ご近所の2,3軒の家に泥棒が入ったらしく、十分用心して欲しいとのことだった。私が「どうして、泥棒が入ったことが分かったの?」とミチコさんに尋ねると、玄関の鍵が壊されていたらしい。あんな田舎では、家に人がいるかいないかなんて、車庫を見れば一目瞭然だ。それにしても、どうしてあんな田舎で泥棒なのか、いま一つ納得がいかない。それに、うちだって留守だったのにと思うと、泥棒も長年の感?でお金があるなしの判断をするものらしい。本当いうと、村で一番お金持ちはうちの隣りの家なのだが、そこまでは考えが及ばなかったのか、それとも、誰か人がいたのか。

 いずれにせよ、うちにはお金がないし、それにあるのはガラクタばかりで、物が多すぎて、貴重品のありかをすぐには探せない。それに、家の玄関に至る庭からして、まさにジャングルのようで、ヘビのように細長い道を通らなければならない。その細さはやっと人ひとり通れるくらいで、草花の鉢植えで輪郭が作られていた。気のせいか、帰省するたびにその空間はどんどん細くなっている。あれでは、新聞配達の人も、宅急便の人も、足元に気を付けて通らなければならないだろう。家の主によると、いつの間にか自然と細くなってしまったと言い訳をしているが、本当のところは分からない。

 家の主であるミチコさんはとても面白い人だ。高校生の頃から知っていて、誰よりも理解していると思っていたが、ある日ユニークな一面を発見してしまった。それは、テレビショッピングなどでやっている、青汁やサプリメントの通信販売についてで、私が、「あんなの全然効かないじゃない」と同意を求めたときだった。「そうだよねえ」と返事が返ってくるとばかり思ったら、「私はダメなのよ。いつも続かないから、効くかどうかもわからないのよ」などというので、呆れてしまった。いや、呆れると言うよりも、笑いが止まらなかった。

 ミチコさんは通信販売をけっこう利用しているようで、たとえば、身体にいいと言われる青汁や、顔のシミに効くと言うサプリメントも、なんだか良さそうだと思ったら即注文する。だが、実際はどうかと言うと、届いてからは三日坊主で、すぐにその存在を忘れてしまうのだ。それなのに、ああいった通販というものは、こちらの事情も考えずに、定期的にどんどん送り付けて来る。まだ使っていない商品があるのに次が来ることに困り果てたミチコさんは、堪らず電話をかけて、商品の発送を中止してもらう。いつも、そんなことの繰り返しなのだ。だから、ミチコさんは商品について、それが効くだの効かないのだのと言ったような不満を一切言わない、いや、言える立場にないと言うのが正しい。やはり、ある程度の期間、使ってみない限りは何も批判できないと言うのが常識というものだ。

 ある程度使ってみて、感じたままを言っている立場にあるのが私で、ミチコさんには到底たどり着けない所にいるらしい。正直言って、ミチコさんのような人がいることを知って、目から鱗というしかない。今回帰省して、一緒にBSのドラマを見ていたら、通信販売のCMが入った。スーパーリフレッシュとかいう名前の洗濯洗剤で、どんな汚れもつけ置きするだけで、あら、不思議、真っ白に!なるという夢のような商品だった。画面では茶色いタオルが真っ白になるのだが、あれ~よく見ると、柄は同じタオルで色違いのようだ。嘘でしょう、ありえない、と訝る私の横で、ミチコさんは広告の裏を使ったメモ用紙に、電話番号を書き込んでいた。一応書いておくだけと言うと、「私はまだ以前買ったのがあるから」と押入れからそれらの商品を出してきた。どれも未使用で、いつかは使うのだが、それがいつかは定かではないようだ。それで、その洗剤の話はそれっきりになったのだが、実は、私にもホワイトニング効果のある歯磨き粉を買って、失敗した前科があった。

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