人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

伊集院静さんと夏目漱石

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ニュースで伊集院静さんのことを知って

 テレビのニュースで伊集院静さんがくも膜下出血で病院に搬送されたことを知りました。妻の女優篠ひろ子さんのお話では手術が成功したものの今後のことはわからないとのことでした。一日も早いご回復をお祈りしたいと思います。

 伊集院さんといえば、現在、日本経済新聞に小説「ミチクサ先生」を連載しておられるので毎日拝見していました。この小説で初めて正岡子規が俳句だけでなく、その他の分野でもすごい才能に恵まれていたことを知りました。俳句の功績は彼が持っている才能の一端でしかなくて、天は二物も三物も与えているのです。若いころから才能豊かな友に囲まれて、自身も英語の才能を生かして留学したいと考えていた漱石ですが性格はとても繊細です。ある女性との恋愛で挫折を味わいますが、意外にも友の一言でふっきれるのです。なんでもその女性の母親が悪徳経営者で、関わった者は皆財産をだまし取られているのだとか、それは単なるうわさではなく事実なのだと子規は言うのです。それを聞いて、「そんな母親の娘と付き合って、実家に迷惑がかかったら大変だ」と思ったのか、漱石は妙に納得して正気に戻ったのでした。

坊ちゃんはばあやコンプレックス

 正直言って、私は漱石のファンでも何でもなくて、それでも学生時代にどうしても読む必要があって名作といわれるものはひととおり読みました。その中で昔テレビドラマにもなった「坊ちゃん」は坊ちゃんとマドンナが恋愛する話だと誤解していたのです。それが分かったのは、以前新聞に載っていたエッセイで誰だったか、本当にわかりやすく「坊ちゃん」を一刀両断したようなことを書いているのを読みました。それで、あの小説が恋愛小説などではなくて、赤シャツとマドンナが不倫して、坊ちゃんはそれに巻き込まれてしまうのだとか。それから、坊ちゃんはばあやのきよが一番でばあやコンプレックスといっても過言ではないとのことです。小説はきよへの手紙の形式で書かれており、きよにはなんでも打ち明けているのです。結局は、松山の中学での一年間の間に誰とも打ち解けることがなかったのだと。

君の人間性を疑う

 伊集院さんの話に戻ると、人生相談で「この人と結婚していいのか」との問いにアドバイスを求められたときの回答がお人柄をよく表していると思いました。相談者の男性の相手の女性は元風俗嬢だそうで、それを気にして迷っているようです。「風俗嬢であろうがなかろうが、自分で決めた相手を信じらないなんて、君は結婚しないほうがいい」ときっぱりおっしゃっていました。そして「人間を職業で差別するなんて僕は君の人間性を疑う」とも。

 それからエッセイの中で妻の篠ひろ子さんについてもおもしろいことを書いておられます。彼女はあの美しさとエレガントさとはかけ離れた行動をなさる方らしいのです。例えば、テレビの取材でエジプトの博物館に行った時、ミイラを入れる何体もの棺を見て回っているとき、突然奥様がいなくなったのでびっくりして心配したそうです。そしたら、すぐ隣の床に置いてある棺のなかに奥様が横たわっていてニコリと笑ってみえたとか。「お前はなんてことを。早く出ろ」と関係者に気づかれないように小声でささやくのが精いっぱいだったそうです。

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