人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

キウイがあま~い

今週のお題「あまい」

こんなキウイ、食べたことない

 実を言うと私は酸っぱい物が苦手です。特にグレープフルーツやりんご、キウイ、イチゴなどの果物があまり好きではありません。できる事なら食べたくないのですが、そうも言っていられない時もあります。他所のお宅で出された時とか、同僚がせっかく持ってきてくれた果物を皆が喜んで食べている時がそれです。別に食べたからと言って、ドラマに出てくるようなアレルギーがあるわけでもなく、具合が悪くなってしまうわけではありません。苦手だからと断るのも面倒なので、同調圧力に負けてついつい食べてしまいます。やはり酸っぱいのですが、顔をしかめたりすることなく、何とか食べられます。

 くだものというのは、だいたいが酸っぱいものが多いような気がします。例えば、ビタミンCが豊富なキウイは、スーパーなどで売っているパッケージには必ず「甘い」と書いてあります。でも食べてみると、何のことはない、どうにもこうにも酸っぱくて堪らないのです。キウイが大好きという友人に聞いてみると、「あの酸っぱさがいいんじゃない」だなんて、連れないことを言うのです。そのなんとも不思議な気持ちを到底理解できませんでした。

 でも、そんな私にある日突然目から鱗の出来事が起こりました。それはご近所のお宅から、「これ、田舎の友だちが送ってくれたから、食べてみて」とキウイを頂いたのです。その友人の家でキウイを作っている?らしく、袋には見たことのない小さめのキウイがいっぱい入っていました。その時の私は内心、「キウイなんてもらってもねえ」と戸惑っていました。酸っぱい物が嫌いだなんて本当のことを言うわけにもいかず、丁寧にお礼を言って受け取りました。さて、キウイを貰ったものの、捨てるわけにもいかずそのまま2~3日放っぽっておきました。

 そのうちに、せっかくもらったのだから、味見だけでもしようという気になりました。袋の中をよく見ると、緑、茶、紫、黄と色が豊富なので、食べて見たくなり、その中のひとつを手に取りました。皮を剥いて、小さめに切り、「酸っぱい」のを覚悟して、口の中に放り込みました。すると、予想もしなかったことですが、「甘~い」のです。これってホントにキウイなのと訝るくらい、酸っぱさが感じられません。ただ、ただ、甘~いの一言です。これに感激し、味を占めた私は次々と他のキウイも食べにかかりました。色には関係なく、すべてのキウイが私がそれまで抱いていたキウイのイメージを覆してくれるような甘さでした。

 それ以来、不思議なことに私はキウイが食べられるようになりました。スーパーで売っている「ゴールデンキウイ」という比較的甘めの種類なら問題ありません。と言っても、パックで正規の値段で売っている物ではなくて、夕方の特売のお買い得品を買うことが多いです。それも何か月に一度ぐらいの割合で、急に食べたくなる時に限るのですが。それにしても、私の中のキウイの常識を打ち破ってくれたあのキウイが、いったいどこで作られているのか、未だにわかりません。キウイを貰った時に根掘り葉掘り聞いておけばよかったと思ってはみたものの、真相を尋ねてみる機会がありません。

 キウイをくださった方とはたまにご近所で出くわすこともあるのですが、その時はたいてい何か別の話をしています。そこへいきなりキウイの話を持ち出すわけにもいかず、あるいは私もキウイのことは頭の中に浮かばないのです。確か、以前何かの話の時に「あなたのおかげで、キウイが食べられるようになったのですよ」とお礼を言ったら、物凄く嬉しそうな顔をされていました。それならもう一押しして、あのキウイはどこで作っているのですかと聞けばいいのに、現実にはそれができていません。

 まさか、わざわざ家に押しかけてキウイのことを気軽に聞ける間柄でもありません。それならまあ、どうでもいいかと追及するのをやめておくしかありません。なので、産地は分からずじまいですが、とにかく絶品のキウイに出会ったことは確かなのでした。

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