人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

自分でドレッシングは作れる?

ずうっとマリネだと思っていたら、実は・・・

 今回の帰省の際、私は義姉のミチコさんに、食べ物についてあるリクエストをした。それは私が高校生だった時にうちにお嫁に来たミチコさんがよく作っていたおかずに関することで、今まで特に思い出したことなどなかったのに、ある日急に気になりだした。そのおかずは野菜とスモークサーモンのマリネで、もう今ではどんな味だったかなんて、覚えているかと聞かれたら相当に怪しいものだ。だが、いずれにせよ、もう一度あれが食べてみたいのだからどうしようもない。ミチコさんに話すと、「ええ~!?あれは誰も食べなくて、私一人で食べてたような気がするのに」と驚かれた。とんでもない、私はあれが結構好きで食べてたよ、と弁解しても、いっこうに信じなかった。

 それで、あの味よもう一度、とばかりにミチコさんに御願いし、ミチコさんも当時の作り方で、いつものようにテーブルに出してくれた。現実に目の前にある野菜とスモークサーモンのマリネを一目見て、あれ~?と疑問が湧く。たしか、昔はもっと白っぽかったのに、目の前には醤油の色なのだろう、黒っぽいので戸惑った。食べてみると、醤油が効きすぎていて、少し辛めだが味は悪くない。これならいくらでも食べられそうだ。

 ミチコさんに作り方を聞いて仰天した。私がずうっと、マリネだと思っていたこのレシピは、実はマリネ”もどき”だったことが分かったからだ。スーパーで市販のマリネのタレを買ったことがあるが、あれは当然のことながら、酢が入っているから恐ろしく酸っぱい。酸っぱいのが苦手な私には無理だった。ところが、ミチコさんの味付けは酢は一滴も入ってはいなかった。ではどうやって、あの味をと聞くと、「油と醤油と鰹節、それと味の素を一振りして終わり」となんとも簡単な説明をしてくれる。俄かには信じられない、それだけであんなに美味しい物が作れるなんて。そんなこととは露知らず、今までずうっと何か特別な市販のドレッシングか何かを使っているのだとばかり思っていた。今回はそれを聞きだすのも目的のひとつだったのだが、なあ~んだ、そうだったのかと拍子抜けした。

 自分で作れるんだ、それも何もお金をかけなくても、店で買って来なくても、どこの家にでもある調味料でなんとかなることに目から鱗だった。家でも作りたいからと、ミチコさんにレシピを書いてもらう。材料は玉ねぎ、キュウリ、トマト、ねぎ、それにスモークサーモンだが、何もやたら高すぎるスモークサーモンにこだわる必要などない。家に帰って、スーパーに行って分かったのだが、今はスモークサーモンでなくても、手ごろな値段で、使いやすいサーモンが捜せばあるものだ。私も、折も折、「ぶっかけサーモン丼用」と書かれたパッケージを見つけて、これだ!と嬉しくなった。どう見ても398円は買いやすい。皆思うところは同じだからか、いつ行ってもあと一つか二つぐらいしか残っていない。

 サーモンが手に入ったら、あとは何の問題もない。玉ねぎとキュウリを千切りにするのだが、ここで、秘密兵器を投入する。自分でいちいち千切りにするなんてことは面倒なので、昔買って今では放りっぱなしになっていたあるものに活躍してもらうことにした。そのあるものとは、野菜を凹凸のある面で滑らすだけで、千切りの山が出来上がる優れもので、おろし金の進化したバージョンだ。気持ちいいほどに簡単に、あっという間に玉ねぎとキュウリの準備ができたら、あとはネギを刻み、トマトを適当に切ればそれで終わり。さて、早速味付けだが、ミチコさんのレシピでは、野菜を切る前にタレを用意しておくべきなのだが、私はすっかりそれを忘れていた。でも大丈夫、ボールに油と醤油と鰹節を入れて、ササッと箸でかき混ぜて、材料にかけるだけで出来上がりだ。少々、味が薄くても、その時は直接、油や醤油を振りかければ好みの味に生まれ変わるところがいい。

 不思議なことに、サラダ油を使っているのに、全然脂っぽくない。いったいどうなっちゃってるの?と自問自答する。思えば、以前の私は市販のドレッシングをよく買っていた。今思うと、あれは量のわりには割高で、もったいない話だが、最後まできちんと使い切れたことがなかった。それで最後にダメになったドレッシングのボトルを捨てる時に面倒なことになる。そのまま捨てることにはどうしても抵抗があるので、水で中身を綺麗に洗わなければならない。その時に必要な水の量ときたら、半端ない。後の処理が嫌で、今では市販のドレッシングを買わなくなったので、頼るものはマヨネーズしかなくなった。そのマヨネーズも最近は飽きが来ていたので、ちょうどよかった、ミチコさんのおかげで、野菜サラダにサラダ油と醤油と鰹節を混ぜ合わせたタレをかけて食べるようになった。これって、立派なドレッシングと言えないだろうか、もっとも酢は入っていないのだが。

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