人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

こたつで衣類の乾燥はダメ?

思えば、以前はずいぶんお世話になっていたが

 先日の新聞の生活欄に載っていた漫画「ヒヤリ劇場」はこたつで衣類の乾燥をする人への問題提起だった。こたつを乾燥機代わりにすると、どれだけ危ないかという警告を発していた。「寒くなってこたつから離れなくなる人を”コタツモリ”と言う」そうで、「いろんなことをこたつ内で済ます」傾向がある。そのあげくの果てにこたつの中から煙が出て慌てふためくことになるのだが、「コタツモリの悲しい性で、火事よりもこたつの損傷を恐れる」などという笑うに笑えない落ちが付く。

 漫画の横にはちゃんと説明文が付いていて、「こたつや電気ストーブを使う家庭も多いだろう。火を使わない機器だが、正しく使わないと火災の恐れがある」と注意を促していた。電気ストーブは当然発火の恐れがあることは誰にでもわかるが、こたつもダメだとは目から鱗だった。実際にはこたつ内のヒーター部分に衣類が接触して発火した事例は少なくないそうで、こたつが一番安全な暖房器具だと思い込んでいた私は衝撃を受けた。こたつに潜り込むことは誰でもやることで、そうなると自分の衣類がヒーターの部分に接触することは十分あり得るからだ。洗濯物を乾かすのに使わなくても、もしかしたら、発火する可能性もなくはないと考えたらぞっとしてしまった。

 考えてみると、漫画に出てくる「コタツモリ」という言葉は若い頃の私にピッタリだ。上京して一番最初に住んだアパートの部屋は3畳で、そこにこたつを置いて楽しく暮していた。部屋が狭いことのメリットは動かなくても用が足りてしまうことだった。手を伸ばせば炊飯器のご飯をよそうこともできたし、本棚の本を取るのも移動の必要はなかった。まさにこたつは友だちで良き相棒だった。そんな不可欠な存在だったこたつが”危険人物”なのだと聞かされてもピンとこない。まあ、要するに、洗濯物を中で乾かそうなどという気にならない限り、普通に使っているのなら安全安心と言いたいのだろう。

 それでも、実は私はつい最近までこたつを乾燥機代わりに使っていた。なぜかと言うと、エアコンを使うと懐が痛むので、ついついこたつでなんとか凌ごうとしていたのだ。外に干せない時は部屋干しをするしかないが、部屋に干していてもバスタオルなどの分厚い物は一向に乾いてはくれないのが現実だ。となると、とるべき手段は2つしかない、つまりコインランドリーで乾かすか、あるいは一番身近なこたつで乾かすかのどちらかだ。めんどくさがり屋の私は当然てっとり早い方法を選択し、こたつ布団を捲りあげて、生乾きの洗濯物を放り込んでいく。これがまたけっこう乾いてくれて実に助かった。だからこたつは私にとってなくてはならない暖房器具だった。断っておくが、もちろん衣類がヒーター部分に接触したら燃えるかもしれないということは頭の隅にはあった。でも、気を付けていれば大丈夫と本気で思っていたし、実際には危ないことは何もなかった。それだけにこの漫画と記事を読んで、火災の多さに仰天した。

 電気ストーブの火災で思い出すのは、昔ご近所の人のお宅が火事になって全焼してしまったことだ。火事の原因はその家のおじいさんが自分の部屋で使っていた電気ストーブだった。ある時、そのおじいさんが何を思ったのかとんでもない行動に出た。なんと電気ストーブに布団をかけてしまったのだ。おじいさんにとってはその行動はこたつに布団をかけるようなそんな思いつきだったのかもしれない。だが、当然のごとく、布団に火が付いて、燃え広がってしまった。当時部屋にはおじいさんひとりだったので、誰も止めようがなかったのだ。

 ちょうど公園の真ん前にあるお宅で、井戸端会議ではその家のおじいさんのことがしばしば話題に上っていた。毎日のように自分の家の庭の植木の水やりのためにわざわざ公園まで足を運んでいた。公園にある水道の蛇口から出た水を自分の家の植木にかけてやっていた。「あの人って、あんなことをしてなんて人なの!ケチっていうかせこいねえ」などと皆で噂をしている人物だった。

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