人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

行列に並ぶわけは

並びたくはないが、やむを得ず?

 街を歩いていて、ふと見かけた長蛇の列、それが何であれ気になることは気になる。何だろう、何かなあと好奇心に駆られて確かめてみると、飲食店だったり、何か新製品の特にゲーム機とかスマホとかの発売日だったりする。以前スペインのバルセロナに行った時、泊まったホテルの部屋から早朝に長蛇の列が見えたことがある。こんな朝早くから何事だろうと不思議で仕方なかったが、人は何かどうしても欲しいもののためには行列を作るものなのだ。つまり、目的のためならいくらでも待てるし、時間を潰すのも厭わないらしい。

 先日の朝日新聞の土曜版に載っていたのは「行列に並びますか」というアンケートの結果だった。「はい」は43%、「いいえ」は57%で、行列に並ばない人の方が幾分多かった。それに「はい」と答えた人にその理由や心境を聞いてみると、意外にも「ならびたくないが、やむを得ず」と答えた人が多かった。どうやら行列というものは、ワクワクしながら並んで待つというものでもないらしい。むしろ、嫌だけど仕方なく並ばざるを得ない状況の方が多いのだ。例えば、ATM、スーパー・コンビニのレジ、そして、女子トイレがそのいい例だ。嫌々並んでいるのだから、イライラして、他人に冷たい視線を向けてしまうのも当然である。

 私も行列に並ぶのはできる事なら避けたいが、どうしても無理な時は諦めて何かで気をそらすことにしている。例えば、本を読んだり、ICレコーダーに録っておいたNHKの語学講座を聞いたりとかだが、それにも飽きると今度はDVDを見たりしていた。携帯用のDVDレコーダーでお気に入りのドラマを見ていると、あっという間に時間が過ぎる。正直言って、本を読むというのは目が疲れるだけでなく精神的にも疲れてしまう。だから画面を追いかけて、ぼんやりとただ見ているだけのDVDは本当に楽でいい。

 私の中で、一番記憶に残っている行列は、お盆や年末年始などの繁忙期に列車の切符をとるために並ぶ行列だ。今でこそ、ネット予約で済ますことができて、便利な世の中になったが、昔はそんな簡単に出来ること自体がありえなかったし、また信じられなかった。まだネットというものが、機械が勝手にやることが、信用するに値しないものだと考えられていた当時は、自分で行列に並んで、自らチケットを手にすることが確実で一番安心できる方法だった。最初はみどりの窓口が開くのが朝の6時だったが、そのうち8時になった。今にして思えば、ありえないことだが、私はいつも1時間以上前に行って並んでいた。確実にチケットをとるために、受付の1番の番号を貰うのを目標にしていた。

 いつも私が駅に行くと誰もいなくて、それでは皆はいつ頃やって来るのかと言うと、窓口があく30分前だった。ほとんどの人は朝早くから並びたくないからなのだが、その頃にはすでに長蛇の列が出来上がっている。お盆はまだいいが、年末となると、切符が取れない可能性が大きくなる。そんな事態に陥るのが嫌だから、敢えて慎重に慎重を重ねて、早めに行動をしていた。日常生活にネット予約というものが浸透し出した頃、会社の先輩から言われたことがある、「あなたはなぜ駅で行列に並ぶの?ネット予約というものがあるでしょう」。その時の私はこう答えた、「そんなことは十分承知なのですが、時には機械は間違えることがあるから心配なんです」

 おそらくネット予約というものを全く信用していなかった頃で、面倒でも目に見えて確実な方法を選択していた。そのうち、駅員が駅に立ち寄る人に「ネット予約ならもう行列に並ぶ必要はないんです。私も利用しています。時間の節約になって便利ですよ」と声掛けをするようになった。その宣伝文句に誘われるようにして、恐る恐る?ネット予約というものをしてみることにした。すると、なんといとも簡単にチケットが手に入った。なんて便利なんだ!と感激することしきりだった。その頃は駅にある券売機で切符を受け取っていたが、現在ではICカードと連携しているので駅に取りに行く必要もなくなった。

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