人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

お客様は神様です

まさかアメリカでこんなこと言うとは、いやはや驚いた

 何にでもすぐ飽きてしまう私だが、過去の『NHKラジオ英会話』の復習だけは続いている。その理由は毎回毎回、番組の内容が”発見と驚き”で満ち溢れているからだ。何の気なしに、理由も知らず使っていた表現が、実はある意味を持っていたのだと知って、胸にストンとくる。そうなっているのだから、理由などないと一方的に教えられていただけのことが、突然意味を持って迫ってくる。そうなると、もう絶対に忘れられない。暗記をしたわけでもないのに、自然と覚えているから、嬉しくなってしまう。そうなると、相乗効果で、もっと知りたくなって、どんどん勉強がしたくなる。しなければならないから自分に命じているわけではなく、ただ楽しいからやっている。純粋に英語の勉強が、それも使える英語の勉強がしたくてたまらなくなる。今までこんな気持ちになったことがあっただろうか、いや、そんな経験はなかった。自分で自分のありえない変化に驚いている。

 先日いつものように復習をしていたら、思わず、「ええ~っ!?」と叫んでしまった。その日のダイアログがあまりにも意外で、信じられないような内容だったからだ。それはこんなストーリーだった。ある衣料品店で、従業員のセジュとミレイが帰り際に話をしている。セジュが「僕はもう帰ろうかなあ」とミレイに許可を求めると、彼女は明日の仕事の段取りを伝える。お客さんを呼び込むために、朝一番に店の窓にセールのポスターを貼るようにと指示し、実はお客から苦情が入っていることも付け加える。それは最近店の床が汚れているとのことだったが、セジュは「僕は毎日床にモップをかけてるよ」と反論する。そしてPeople are too picky.  (みんな口やかましいね)と嘆きもする。ここでのpicky は細かいことに口やかましいという意味で使われている。

 ところが、ミレイの反応はセジュとは全く違っていた。彼女はMaybe (かもね)とひとこと言った後、But customer is キーン,remenber? と付け加えたのだが、テキストを持っていなくて、耳だけが頼りの私には何のことだかさっぱりわからない。「キーン」って一体どう意味なんだろう。その時の私はきっとミレイはお客を擁護しているのだと、つまりお客さんとはそういうものなのだし、またそんなお客さんばかりではなく、いい人もいるのだから、と言いたいのだとばかり思っていた。とにかく「キーン」という単語が何なのか、分からないことには始まらない。自分で何とか目星を付けようと少しの間考えてみるが、どうにもならなかった。

 それで、好奇心に駆られながら、大西先生の訳を聞いたら、「ええ~っ!?」となった。正解はBut customer is king,remember? で、「キーン」はkingだった。要するに「お客様は神様なのよ」という意味で、私には目から鱗だった。だいたいが、そんなフレーズは日本独特の言葉であり、世界には通用しないと思っていたからだ。たまに海外に行き、買い物をしても、そのフレーズを思わせるような雰囲気は微塵も感じられなかったからだ。視聴者の反応をつぶさに感じ取った大西先生が、「まさか、アメリカで本当にこんなことを言うんですか?」と苦笑しながらネイティブのクリスさんとローザさんに尋ねる。すると、クリスさんはvery oftenという単語を使ってそれは普通のことだと認めたので、こちらは大いに面食らった。ローザさんに至っては、Actually Americans usually say "The customer is always right"と断言している。お客様の仰ることはいつでも正しい!つまり、お客様ファーストと言うことだ。

 いやはや、英会話を勉強していただけのつもりが、アメリカの文化までも知ることになるとは。これだからこの番組は面白い。以前は聞き流すだけで、心の隅にも引っ掛からなかったが、真面目にじっくり聞いてみると、僅か15分の番組にしては内容が濃くて奥が深い。

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