人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

高身長は羨ましい?

背が高い女性が羨ましい、でも現実は

 先日、歯医者に行くために大通りを歩いていた。私の前には若い女の子のふたり連れがいた。そのうちの一人がふと「最近、服を買う時にちょっと困ったことがあって・・・」と話し出した。それは何かというと、「お店で気に入ったワンピースとかがあるので、買おうとするのだけど、鏡で合わせてみると丈が靴の上すれすれで、ウワ~ッとなる!?」のだそうだ。色合いもデサインも気に入って、できることなら買いたいのに、自分が着るとなると、ひきずりそうになってしまうので諦めざる得ないのだ。そんな悩みを聞いている友達は「そうか」と聞き流すだけ。どうやらそんな悩みは他人事で、さっぱり共感できないらしい。その子の服装を見ると、スラックスにパーカーを羽織っていて、あまりおしゃれに関心がないようだ。でも、すぐ後ろを歩いている私は、「それわかる!」と言いたいくらいの気持ちだった。近頃、ワンピースを着ている若い人の中には、足がもたつかないか心配になるくらいの丈の長いタイプの物をきていることが多い。あれって、どう見ても身長170cmくらいの女性でないと着こなせないのではと疑問に思ってしまう。

 以前もショッピングセンターにある店でコートをハンガーを手に取って、自分に合わせてみたら、仰天した。コートの丈の長さがくるぶしまであったからだ。もっともマネキンが着ているのを見て、すでに無理だとわかるものも多い。あれは、きっと長いのが今の流行でおしゃれだということなのだろう。以前はスカート丈がいくら長いと言ってもミディ丈で、床につきそうなほどの長さではなかった気がする。どう考えても、私のような160cmにも満たないようなチビでは着こなせない。こうなると、いくら願っても無理なので、「もう少し背が高かったらなあ」と溜息をついて、諦めるしかない。

 なんてことを考えていたら、新聞の投稿欄に『高身長ゆえの悩みも』というタイトルの記事が載っていた。その女性は176cmの高身長ゆえに今までどれだけ不便であったかを淡々と綴っていた。小さい頃からすでにその傾向はあって人一倍背が高かった。友だちと幼稚園の園庭で遊んでいて、遊具をくぐる際に、かがむ動作を忘れて頭をぶつけてしまった。小学校高学年の頃には、小学生とは信じてもらえず、子供料金の切符では駅員に必ず呼び止められた等々、高身長ゆえの受難の日々を訴えていた。それに、当時は高身長の女性にあったサイズの洋服が見つからず、欲求不満は最高潮に達していた。

 読んでいて、正直とても複雑な気持ちになった。当方は高身長がカッコよくて、羨ましいとしか思えない浅薄なおばさんなので、「高身長が嫌で猫背気味」のフレーズには仰天した。「昨年から腰痛で整形外科に通う」そうで、リハビリの時に姿勢の悪さを指摘されてしまう。想像力が欠如している私には「高身長」と「腰痛」がどうしても結びつかない。そうか、もしかしたら、高身長に引け目を感じているため、どうしても腰をかがめる動作をしてしまうのかもしれない。せっかくの高身長なのだから、「モデルさんみたいに背筋を伸ばして」と毎回言われるそうだが、その通りだ。背の低い私なんかからしたら、羨ましい限りで、自分が高身長であることにもっと自信を持っていいと思う。

 昔KLMオランダ航空に乗ったら、飲み物をサービスしてくれた女性は飛行機の天井に頭がもう少しでつきそうと心配になるくらいの高身長だった。あの時、世界にはこんな背の高い人がいるのだと初めて知った。世界は広いなあと感じたのも確かだ。ヨーロッパを旅して、久しぶりに日本に帰ったら、道行く人が何だかみんなチビばかりだった。「あれ、どうして皆こんなに背が低いのだろう!?」と戸惑った。考えてみると、外国で背が高い人ばかり見てきたせいか、あれが普通だと思い込んでいたらしい。

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