人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

ヨーロッパでロストバゲージが頻発

荷物を預けるという選択肢、無くなった

 私は基本的に飛行機に乗るとき、荷物を預ける習慣はありませんでした。その理由は到着したら、いの一番に移動したいからで、荷物を受け取るために待つのが嫌でした。そんな私も荷物を預けようとしたことがあって、ヘルシンキ経由でサンクトペテルブルグに行くためでした。その時は荷物が多すぎるからという単純な理由だったのですが、驚くべきことにフィンランド航空のカウンターで職員に断られました。なぜダメなのかと言うと、その職員の話では、そんなロシアの得体のしれない?空港に荷物を送って、もし紛失でもしたら、大変なことになるとのことでした。どうやら面倒な事は人間誰しも避けたいようで「全部荷物は持って乗ってください」と言われました。当時は液体も問題なく持ち込めた時代でした。

 でも、2006年にヒースロー空港で航空機爆破未遂事件が起きて以来、液体は持ち込めなくなりました。そのおかげで、個人的には以前まで持ち込めていた、レトルトカレーや炊き込みご飯の素や、梅干し等の、自炊生活には不可欠なものが利用できなくなりました。途端に、自炊の風景が貧しいものに変わりました。それでも炊きたてご飯だけは依然として輝きを放っているのです。それはそれで、仕方がないと諦めていたのですが、今回はふと、あの喜びをもう一度とばかりに、「ひとつ、荷物を預けて、液体物を持って行こう」と思ってしまったんです。それで、自分の柄ではないと思いながらも、スーツケースを買いました。

 でも、ひとつ、どうしても気になることがありました。それは噂にだけ聞いていた、ロストバゲージのことです。以前にも、ネットで検索してみたのですが、大した確率でもないとの認識でした。不幸にしてそんなことが起こることもあるが、大丈夫、ちゃんと荷物は戻って来る、と知人に気にしなくていいと言われたこともありました。それで、もしものためにスーツケースには、あったらいいなあ、程度のレトルト食品を入れることにしたのですが、よく考えてみたら、これはある意味賭けなのです。なぜなら、スーツケースが手元に無ければ、いつもと同じ貧しい自炊生活をしなければならないからです。そうなると、荷物を預けることに不信感がもくもくと煙のように立ち込めてきました。

 では、本当のところはどうなのだろうか、俄然知りたくなりました。それで、再度、ネットで「ロストバゲージ」と入力し、情報を探しました。そして、見つけたのが、「ヨーロッパでロストバゲージが頻発」というブログの記事でした。そのブログによると、ヨーロッパのハブ空港と言われる、フランスのシャルルドゴール空港、オランダのスキポール空港、それにフランクフルトの空港では、ロストバゲージが頻発しているとのことでした。実際に、ブログの筆者も最近それらの空港のひとつを利用し、何の問題もなく帰ってきたそうです。でも、その後、大勢の人がロストバゲージにあっている現実を知って仰天しました。自分はただ単に運がよかっただけで、一つ間違えればそんな目に遭っていたはずとブログに綴っていました。

 このブログを読んで、まさに青天の霹靂ともいえる事態に頭が真っ白になりました。それでも、まだ、荷物を預けようかどうか、どうしようと迷っている状態でした。ところが、そのブログには、あるラジオ番組の音声が添付されていたんです。因みに、音声は8月20日のものでした。その番組はあの安住紳一郎さんがMCを務めていて、パートナーは中嶋さんという女性アナウンサーでした。安住さんが中嶋さんに「この間、夏休みをとりましたよねえ、何処か行かれたんですか」と尋ねました。すると、中嶋さんは「頑張って頑張って、イタリアのヴェネチアに行ってきました」と興奮気味に答えたんです。それで、安住さんが「どうでしたか、何が楽しかったですか」と畳みかけると、中嶋さんの答えは意外なものでした。

 「フランクフルトを経由して帰ってきたんですけど、預けた荷物が出てこなかったんです」と即答したんです。いわゆる、それは噂でしか聞いたことがないロストバゲージだったのですが、その後の中嶋さんの発言を聞いて呆然自失してしまいました。なんと、一人や二人ではなく、大勢の人がカウンターに詰め掛けていたんです。ざっと見て、その数は30人ぐらい。その人たちは皆ロストバゲージの犠牲者というのですから、冷や汗が出ます。どうやら、現在はかつてない規模でロストバゲージが頻発しているようです。その原因は、ブログにも書かれていましたが、人員削減による人手不足で、荷物を積み込めないまま、飛行機が出発してしまうからです。

 以前、まるで浦島太郎のごとく、海外旅行をすることになりそうだと、書いたことがありますが、まだ行かない前から目から鱗が落ちることが多すぎます。やはり、4年のブランクはダメージが大きいです。これで、もう、荷物を預けて危険を冒すなんていうリスクを取ることは心の中から消えました。

 付け加えておくと、番組の中で中嶋さんは未だに荷物が自宅に届いていないと言っていました。大変な事態です。

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