人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

マシュマロでサボアを作る

野本さんのアイデアが新鮮すぎる

 朝から憂鬱な話で、大変恐縮だが、知りたくもない不都合な真実を知ってしまった。それは、今後の気象情報のことで、どうやら今年も、いや、今年以上に暑くなると、気象庁が発表したと新聞に出ていた。それは別に新聞の一面に載っていたわけでもないのに、その時はたまたま細部まで目を通してしまったに過ぎない。それで、できれば知りたくもない、そんなことを知ったところでため息が出るだけで、どうにかなることでもない余計な情報を知ってしまったというわけだ。今年の夏は、6月から8月にかけての平均気温が平年より高くなる見込みで、さらに、忌々しきことは、4月から5月から暑さが増していく可能性がある、とのこと。「早めの熱中症対策をして欲しい」と言われても、具体的にどう対処すればいいのか見当もつかない。はっきりしていることは、否が応でも外に出なければ生きてはいけないということだ。

 思い出したくはないが、昨夏の自分がどう生きていたかを振り返ると震え上がる。部屋の中にいても、エアコンがたいして効かないし、電気代が気にかかる。ひとたび外に出ようものなら、たちまち熱波に襲われて、前に進もうとしても足元がおぼつかない。まるで誰かが自分の身体に覆いかぶさっているかのように、身体が重くて怠い。それに、照り付けるような日差しが帽子を被っていても、身体に突き刺さる。エアコンが効いた部屋にいれば安泰だなんてことは、誰が言ったのだろう。エアコンの部屋に居たところで、身体に纏わりついた暑さはやがてだるさへと形を変えていくのだ。何もしたくないという、その倦怠感がやる気を削ぐのにそう時間はかからない。そうなると、もう私は廃人同様で、ただただ、その日を生き延びるだけで必死で、楽しく過ごすという大事な人生におけるモットーをすっかり忘れている。”楽しむ”だなんて、贅沢だと言わんばかりに、その日その日が過ぎていき、やっとのことで、9月になってひと段落した。思えば、去年の6月から8月にかけての3か月間は完全に私は死んでいた。

 暗い話題はこのくらいにして、ドラマの話をしよう。最近毎日楽しみにしているのはNHKの夜ドラ『作りたい女と食べたい女』で、今回はマシュマロでお菓子を作っていた。マシュマロと言うと、フワフワしていて、甘いだけのイメージがあって、正直私は今まであまり食べたことがない。話に聞くだけで、現実には全く縁がなかった食べ物だったが、野本さんはそれを使って美味しそうなお菓子を作っていたので、私にはとても新鮮な驚きだった。まず、板チョコを適当に切って、耐熱容器に入れ、その上に大量のマシュマロを乗せて、オーブンで焼く。10分ほどしたら、取り出すといい感じに焦げ目がついていた。それをどうするのだろうと思ったら、スプーンで掬うと、なんとクリーム状になっていて、それを丸いビスケットに挟んで春日さんが試食する。春日さんが一口食べる度に、マシュマロのクリームのヒゲが後を引くのが気になって仕方がない。

 マシュマロが熱を加えると、あんなにクリーミーになるものだとは思いもよらなかった。まるで魔法だ。そもそも、なぜマシュマロかと言うと、春日さんが仕事で扱っている清涼飲料水の景品で余ったものを持ち帰っていたからだ。料理好きの野本さんはそれを見逃さなかった。マシュマロと聞いて、ピンときた野本さんはすぐに、自分の家にチョコレーとビスケットがあるからと、サボアを作ることを提案する。サボアって聞いたことがなかったが、知る人ぞ知るで、南雲さんは話には聞いたことがあると言う。当然、春日さんにとっては青天の霹靂で、「世の中にこんな美味しいものがあるとは・・・」と感激の極みだった。なんだか、ドラマを見ながら、”美味しいもの探検”をしているみたいだ。

 さて、ドラマの展開としては、南雲さんが病気を治そうと病院に行くことを決断した。医師によると、南雲さんは対面食事拒否症、とかなんとかいう病気だそうで、「治療すれば、すぐに治ります」と言われても、そう簡単でないことは明かだ。それでも、とりあえずは最初の一歩は踏み出せたのだからと、南雲さんの表情は明るい。安心して見ていられるドラマだ。

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