人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

新聞をもう一紙とってみた

今週のお題「買ってよかった2022」

中日新聞に連載されている漫画『ねえ、ぴよちゃん』から。

毎日『ねえ、ぴよちゃん』から笑顔を貰ってます

 私はずうっと日経新聞朝日新聞を取っていた。でも、実を言うと、忙しさにかまけて一面の見出しをさっと斜め読みするだけが精いっぱいだった。日経に至っては、最後のページの文化欄を読むだけだったが、これがまた面白かった。各界の有名人による『私の履歴書』、『交友抄』は未知の世界を垣間見たような気がして大変興味深かった。このページには連載小説もあって、こちらは気が向いた時だけ読んで楽しんでいたるだけで、熱心な読者ではなかった。正直言って、新聞を2紙取ってはいるが、ほとんど読まない、中身がない状態だった。だが、かと言って新聞をやめるという選択肢はなくて、時間が空けば、突然思い出したかのように紙面を開いていた。まるで空気のようで、普段は知らんぷりをしていても、やっぱり側にないと寂しい、そんな存在だった。

 ところが、コロナ禍になって時間ができると大きな変化があった。通勤時間が無くなったおかげで、急に新聞があることを思い出し、熱心に読むようになった。俄かに新聞を読むようになったからと言って、世界情勢や政治に精通するわけもないが、一通り今の世の中で何が起こっているかは把握できるようになった。連載小説や漫画も読むようになって、小説は切り取ってスクラップしておいた。気まぐれな性格のせいで、面白くない時はパスしてしまうので、後であらすじがわからず困ることが無いようにとの配慮だった。

 そんな折、ある日玄関ポストに中日新聞の広告が入っていた。いつもは完全無視なのに、その時はなぜか気になり、読むだけ読もうという気になった。その中で『筆洗(ひっせん)』というコラムの記事の地雷を処理するねずみの話も衝撃だったが、4コマ漫画『ねえ、ぴよちゃん』が特に気に入った。元々、親戚の家の新聞で見たこともあったので、「ああ、これか!」と感激した。いったい何がいいのか、どこがいいのかと言うと、絵が可愛いところ、話が日常の何でもない、でも愛おしい出来事や場面で盛りだくさんなところだ。特別な事件が起こるわけでもなく、誰でも共感できるところが素晴らしい。

 要するに、『ねえ、ぴよちゃん』を読むと笑顔になれるのだ。日によって、笑顔のレベルは違って「クスッ」と軽く受け流すこともあれば、「アハハッ」と数秒間笑顔が続くときがある。時には後になって、その回の話をふと思い出してしまうほど感激するレベルの時もあるから余計に魅力的だ。この漫画は小学生の女の子ぴよちゃんとその愛猫又吉(またきち)を中心にして展開する。ぴよちゃんは又吉命でいつも又吉のことで頭がいっぱい、一方の又吉も「ぴよさん、大丈夫か」と心配し、お互いに相思相愛なのが微笑ましい。それから特筆すべきは、ぴよちゃんの友だちがひみこちゃんというお金持ちのお嬢様で、二人はとても仲良しだということだ。家にプールがあり、週末に別荘に出掛けるようなセレブとごくごく普通の家庭の女の子が交流して、そこに笑いが生まれること自体が新鮮だ。

 しかもこのひみこちゃんがよくあるツンデレで、自分が喜んでいるのを他人に悟られないように、精一杯のやせ我慢をする。その姿が可笑しくて、もっと素直になればいいのにとも思うが、そうなってしまっては面白くない。ひみこちゃんにはこれからも本心を隠して行動してもらい、『ねえ、ぴよちゃん』を盛り上げてもらいたい。素直でないことが意外にも笑いを生み出すことに驚かされる。この漫画の作者である青沼貴子さんの発想には脱帽するしかない。

 考えてみると、子供の頃は今よりももっと笑っていたと思う。だが、擦れっからしの心しかない大人の今の私には、そんじょそこらのくだらないことではもう笑えない。日常生活で笑うという機会があまりなくなっていたし、笑うことに対するハードルも高めだった。そんなとき『ねえ、ぴよちゃん』に出会って、いとも簡単に、気軽に笑えるようになったのである。

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