人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

NHK語学講座のリスナー

今週のお題「わたしは○○ナー」

▲まいにちフランス語11月号テキストから。

モチベーションの原動力は旅行

 私はNHKラジオ語学講座のリスナーで、毎日番組をICレコーダーに録音して聞いている。思えば、今まで沢山のありとあらゆる語学番組を聞いてきた。最初は基礎英語から始まって英会話、それからイタリア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語と続く。最後にはたいして興味がなかった韓国語や中国語まで聞くようになった。なぜかと言うと、テレビや動画サービスでドラマが見れるようになったから。それでも基本的に語学講座を聞く目的は、ズバリ旅行のため。言葉を勉強していれば、その言語を実際に現地で使ってみたいと思うのは自然なことだ。

 小心者の私はたいして話せない自分が旅行に行くことなど考えもしなかった。だが、ガイドブックの読者欄で、完璧でなくてもお構いなしに、言葉を学びながら旅行をしている人もいることを知った。それで、1年後の旅行の計画を立てて、そこに目標を定めて勉強することにした。人間は確かな目的があるとびっくりするほど燃えるというか、やる気になるものだ。自分の人生で一番楽しく勉強できた。もちろん、相手が何を言っているか聞き取れず、困ったこともあるが、そんなときは誰かしら助けてくれるものだ。たいていは英語で間に合うのではという妄想には異論がある方で、現地の言葉を学んでから行くのは物凄く大切なことだ。

 NHKの語学講座にない言語も学んだこともあるが、それは必要に迫られたからで、何としても覚えなければならなかったからだ。ウィーンから本当ならモーツアルトの生誕の地であるザルツブルグに行きたかった。でも調べてみたら、貧乏旅行を旨としている私にとって、ホテル代が天文学的に高かった。それで仕方なく反対方向のスロヴァキアに行くことにした。ついでだからと、クロアチアにも行った。大型書店の外国語のコーナーにあった3千円もする会話本を買って、必死になって暗記した。

 なんとかなるだろうと現地に行って、「駅にはどう行ったらいいのですか」というフレーズを使ってみた。そしたら、ちゃんと通じて、親切に身振り手振りで教えてくれたのには仰天した。それと、バス停で一緒に待っているおばあさんに「このバスは○○に行きますか」と尋ねたら、何か言ってくれたようだが、こちらは聞き取れない。ポカ~ンとしていると、今度はドイツ語で「ここではなくて、あちらだ」と別のバス停の方向を指さした。どうやら現地の人たちにとっては英語よりドイツ語が身近なものらしい。この時ほど、不真面目ではあるけれど、ドイツ語をやっておいてよかったと思ったことはない。

 昔は20分あったNHKラジオ語学講座の放送時間は現在では15分になった。最初はもちろんショックだったが、今ではもう慣れて、「15分でもやれるではないか」と感心する。ただ、以前のようには番組内で発音練習をみっちりやる時間がないことは否めない。例えば、フランス語入門編の杉山利恵子先生の講座では人称代名詞、不規則動詞の活用の発音練習を毎日のようにやった。そのおかげで今でも忘れることはない、いや忘れてはいてもすぐに取り返せるはずだ。あの頃の講座は楽しくよりもまずは基礎をしっかりがモットーだった。基礎があってこそ「楽しい」が生まれるとの趣旨だったと思う。基礎が固まって確実なものになる過程が「楽しい」だった。

 それを思うと、現在の講座の楽しさは一過性のものなのかもしれない。ただ、その昔にも本当に楽しい時間はあった。それはドイツ語講座で、月曜日から木曜日まで放送があった頃の入門編に毎回お茶の時間があった。コーヒーブレイクともいうべき時間で、ここらでホッと一息する時間で、なんとドイツのポップスが聞けたのだ。そんな機会は滅多にあるものでない。それに楽曲がまたいい感じの曲ばかりなので毎日が楽しかった。今思うと、あんなほっこりした時間は何と貴重だったのだろう、当時は気づけなかったが。

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