人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

『ナースあおい』が投げかけた波紋

今週のお題「もう一度見たいドラマ」 

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 たった一人のナースが病院を変える

 私は普段はほとんど日本のドラマを見ないのです。なぜかというと、韓国ドラマや中華ドラマに出会って以来、何か物足りなくなってきたからです。視聴率を上げるために人気俳優を起用し、たった3カ月でストーリーをまとめようとするのにうんざりしたのです。そんな私が昔見ていたドラマで忘れられないのが『ナースあおい』で、石原さとみさんが看護師のあおいを熱演していました。あおいは看護師になるために生まれてきたような女性で、「目の前の患者をなんとしても助けたい」という思いが人一倍強いのです。あおいは前にいた病院を不祥事のせいで辞めさせられて、今の病院に来たらしいのです。その噂はたちまち皆の知るところとなり、反感を持たれてしまい歓迎されません。

 そんなある日、急患が運び込まれて、一刻を争うのに医師が手術中で応急処置ができません。看護師には医療行為は許されていないので、何もできずただ見守るしかない、誰もがそう思いました。すると、信じられないことに、あおいは気管切開をして患者を助けようとするのです。周りは必死でやめさせようとするのに、一切お構いなしです。「このまま何もしなかったら、この患者は死ぬ。救える命を目の前にして後悔だけはしたくないから」と躊躇することなくやり遂げるのです。

 不思議なことに、あおいが病院に来てから、それまでは惰性で適当に仕事していた周りの人達が変わっていくのです。あおいのことを「どうしてそこまでやるの?そんなことまでやる必要ないよ」などと言ってやる気がなかったのに。明らかに仕事に対する姿勢が違ってきているし、何よりも自分の仕事に自信と誇りを持ち始めたのです。どうやら、たった一人の反乱は周りをも巻き込んでしまったようです。

ナースの仕事で学ぶことは底なし沼のようにある

 以前カフェでコーヒーを飲んでいたら、幸運にも興味深い話を盗み聞きすることができました。盗み聞きと言っても、私の席のすぐ隣でその会話の主のふたりは話しているので、自然と耳に入ってくるのです。若い女性が何かの勧誘を相手の男性にしようとしているのですが、いきなり本題に入るわけにも行かないのです。それで自分の看護学校時代の話をするのですが、看護実習で病院に行った時のことが忘れられないようです。

 勤務時間は朝の9時から5時までなので、1週間ほどはすぐに定時で帰っていた。「帰っていいですよ」と言われたので素直に従っただけなのに、ある日先輩から声をかけられ,こう言われた。「あなたはいつもすぐに帰ってしまうけど、どうしてなの?」。そう言われてもその言葉の意味がさっぱり分からなかった。「定時に帰ってはダメなのですか?」と素直に聞いてみた。そしたら思いもよらないことを言われて驚いてしまった、「もっと現場を見てみたいと思わないの?看護学校ではできない勉強ができるのにもったいないわよ」。

 先輩の話では他の人達は彼女が帰ってから、現場を少しでも知ろうと病院のあちこちを見て回り、興味津々で帰って行くのだそうだ。そう行動するのが実習生の常識だと言いたいのだ。思えば、自分は「白衣の天使」になりたくて看護学校に入ったわけでもないのだった。初めて気が付いた、看護師の仕事は9時から5時までで終わりではないらしいことに。看護師に本気でなりたいのであれば、もっと貪欲に学ばなければならないのだ。自分がどれだけ看護師の仕事を理解していなかったか、思い知らされた体験だったのだと彼女が語っていたのを今でも思い出すのです。

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