人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

たこ焼きパーティー

 

へえ~、こんなたこ焼きあったんだ

 たこ焼きと言ったら、言うまでもなく、あのたこ焼き、つまり、タコが入っているたこ焼きを想像するだろう。しかし、夜ドラ『作りたい女と食べたい女』に出て来たたこ焼きはタコは入ってはいない。それどころか、ミニトマトだの、チーズだの、明太子だの、お餅だのと、自由過ぎて、こんなんで、本当にたこ焼き?とツッコミたくなった。そんなステレオタイプの考えしかない私に比べて、料理好きな野本さんの発想はまるで壮大な宇宙のように捉えどころがない。まあ、たこ焼き器で作るのだから、見かけはたこ焼きの様相を呈しているが、食べてその新鮮な味にびっくりする。さらに、春日さんが、「野本さんは、デザート系の味まで用意していますよ」と付け加えるのを忘れない。なんと、”たこ焼き”を食べた後にチョコレートだの、イチゴだのを入れて、スイーツを焼いて、甘味を求める身体をちゃんと察していた。たこ焼きを食べた後は、やはり甘味が欲しくなるに決まっている。なんとも用意周到な野本さんに今更ながら感心することしきりだ。

 それにしても、ドラマに登場したたこ焼き器が優れもので素晴らしい。なんと一度に24個ものたこ焼きを焼けるのだから。これには、思わず目が点になり、まじまじと見つめてしまった。世のなかにこんないいものがあるとは知らなかった。それに、ドラマの中の4人は女子会のごとくきゃあきゃあと楽しそうだ。たかが、たこ焼き器ひとつでこんなに盛り上がるとは目から鱗だった。実を言うと、ドラマを見る前はたこ焼き器なんて、たいして焼けやしないのに、どうするのとネガティブ思考しかなかった。それには昔の苦い経験が付き纏っていたからで、その時のたこ焼き器はたった6個ぐらいしか焼けない誠に頼りない代物だった。友だち4人とたこ焼きが焼けるのを見守ったが、なかなか焼けず、やっと焼けたのにも関わらず、お腹は満たされない。待ち時間が長い割には実が乏しかった。楽しかった記憶は微塵もなかった。

 そんなわけで、たこ焼きだなんてと、たいして期待もしなかった。それがあの盛り上がりで、自分でも早速やってみたいと本当にそう思った。たこ焼きの具のバリエーションを考えるのが今からワクワクする。お店で本物のタコ焼きを買ってきて食べるのとは雲泥の差がある。チラッと、面倒臭い等という水を差す思いもないではないが、そんな邪魔者を押しのけて、まずは行動に移せば、幸せは自ずと訪れる。勇気?を出して、一歩前へ進むべきだ。

 野本さんと春日さんが一緒に住む部屋のことだが、どうやら理想の部屋を見つけたようだ。SNSで知り合った矢子さんに教えて貰った不動産屋に行くと、「お二人はどういう関係かお尋ねしてもいいですか」と聞かれる。「付き合っています」とはっきり答えると、「それを大家さんや管理会社さんにお伝えしても構いませんか」と丁寧に対処してくれる。私も経験があるが、部屋探しはただでさえ大変なのに、それがLGBTとなるとなおさらハードルが高くなる。幸運にも、今の世の中はだんだんと良い方向に向かっているので、ドラマのようにすべて順調に進むはずと信じたい。

 二人が自分たちの道を突き進む一方で、気がかりなのが南雲さんのことだ。二人に挟まれた部屋に住む南雲さんは、なんだか元気がない。矢子さんに「二人が引っ越してしまうのが、寂しいのよねえ」と同情される。南雲さんには二人が自分から離れて行くようで、もう会えない気がしてどうしようもなく寂しいのだ。それを証拠に、今回のたこ焼きパーティにしたって、誘ってくれたのは矢子さんだった。要するに、二人は自分たちの新生活のことで頭がいっぱいで、南雲さんのことに構っている余裕がないだけなのだ。これはどう考えたって、二人を責めるわけにもいかず、どうしようもない。なにしろ、二人の関係性は今が一番輝いている局面にあるのだから。

 それにしても、このドラマはあと一回で終わる。南雲さんほどではないけれど、私もなんだか寂しさに襲われる予感がしてならない。

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