人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

詰め放題セールよ、もう一度

今週のお題「復活してほしいもの」

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最近はお目にかからないが、詰め放題は楽しかった

 いつからか、気づかなかったが、玉ねぎとじゃがいもが高くなったように感じる。なぜかと言うと、それぞれが一個いくらで売られるようになったからだ。それまでは玉ねぎなら袋に3個入っていくらだった。じゃがいもも袋に4~5個入って玉ねぎと同じくらいの値段だった。だからてっきり玉ねぎの方が高いのだとばかり思っていた。でも実際は玉ねぎ1個39円で、じゃがいもは1個49円と値札に書いてある。なんだか頭がこんがらがってしまうが、こればかりは生産地の事情があるのだろう、めまぐるしく変わるのかもしれない。

 以前から考えたら、玉ねぎやじゃがいもを一個単位で買うことなど考えられない。これらの二つの野菜はどこの家の冷蔵庫にもストックされている常備品と言えるものだ。こう書くと、以前知人からじゃがいもは冷蔵庫に入れないほうがいいと注意されたことを思いだした。でも子供の頃、田舎の家ではもう使わなくなった離れの土間に夥しい数のじゃがいもを寝かせていた?記憶がある。勝手にじゃがいも部屋と呼んでいた空間で、なんのことはない、所狭しとじゃがいもがころがっていただけのことだった。一方の玉ねぎは家の軒先につるされて冬の太陽の光を燦燦と浴びていた。

 コロナがまだ流行る前、近所のスーパーでは月に一度、詰め放題セールが行われていた。詰め放題できる野菜は玉ねぎ、じゃがいも、人参の三種類で、小さなポリ袋に詰められるだけ、好きな野菜を詰めて300円だった。最初のうち私は「あんな小さな袋にたいして詰められるわけがない」と馬鹿にして無視していた。でもある時、一生懸命人が詰めている姿をみたら、自分もやってみたくなった。ちょうどテレビの番組でも”詰め放題の女王”の名を持つ主婦の人が詰め方のテクニックを披露していた。どうすれば、いかに多くの野菜を詰めることができるのかを見ていたら、いろんな技と言うか、テクニックがあるものだと感心した。

 コツは何と言ってもいかに隙間なく袋に詰めることができるかだった。まずはじゃがいもと玉ねぎから詰めていくのだが、大きさや形も考慮しなくてはならない。詰め放題の名人はそこら辺のところは私のような初心者と違うらしい。物を見ただけで一瞬にして判断できるらしい。その点において私などは隙間ばかりでダメだった。やはり、”ローマに一日にしてならず”でにわかに名人になれるわけもない。隙間をなんとかならないものかとじっと見つめるのだが、どうしようもないので次の段階に行くことにする。つまり最後に人参を詰めるのではなくて、立てる?作業をするのだ。溢れんばかりにぎっしりと玉ねぎとじゃがいもを詰めた袋にはもうこれ以上何も詰められない。だが当然上の方はデコボコで隙間ができている。そのわずかな隙間に人参を差し込んで、上に立てるようにすると4~5本はいけるはずだった。

 ところが私がやってみると、テレビで習ったように能書き通りにはうまく行かない。見よう見まねで試してみるのだが、人参がぽろっと何度も落ちてしまう。結局、人参2本を差し込むのが精いっぱいだった。レジに並んで会計を待っていたら、思わず拍手したくなるような“強者”に巡り合った。その人の袋には一時引っ掛かっているだけに見える人参が何本もぎっしり刺さっていた。袋からだいぶはみ出てはいるけれど、何とか体勢を整えて持ちこたえている状況だった。レジの店員さんのジャッジは文句なく合格だった。心の中で、上には上がいるものだと凄いなあと感心した。

 ”たかが詰め放題、されど詰め放題”で、やってみるとなかなか面白い。斜に構えて、冷たい視線を送っているよりは参加してみる方が気分転換になる。いい歳をした大人の、私のようなおばさんの日常生活でのささやかな楽しみだった。家に帰ったら、真っ先に戦利品の数を数えてみる。ある時数えてみたら、玉ねぎ、じゃがいも合わせて12個、人参2本だった。全くの予想以上だった。300円でこの成果はどう考えてもお得だとひとりで悦に入った。幸せは大きくなくていい、たわいもない、小さなことで喜べることが大事なのだと思う。

mikonacolon