人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

パリ・ミュージアム・パス

使用は一回限り、だなんて、それはないでしょう

 今秋に行くパリへの旅行の準備のため、情報収集の真最中だ。先日もガイドブックで美術館のページを見ていたら、パリ・ミュージアム・パスの写真と、その使い方が載っていた。私もこれを持っていると、何かと都合がいいのでいつも利用していた。このパスの利点は、パリにあるほとんどの美術館にチケットを買わなくても自由に出入りでき、しかも何度でも使えるという点にあったはず。時代劇の水戸黄門に出て来る印籠のように、フリーパスとなるのが、このパスを買う最大の理由だった。

 だが、どうも今は違うようなのだ。このミュージアム・パスは2日券で55ユーロだが、これは現地の値段で、日本のサイトで買ったら、当然もっと高くて、70ユーロにもなると言う。ネットで調べてみると、現在のユーロのレートは日本円で約157円で、25ユーロで約3945円なので、ざっと見積もると、一万円は見ておいた方がいい。値段は確かに高いが、コロナ前もだいたいはそのくらいで、その利便性からしたら、お得なくらいだと思っていた。

 それなのに、現在では美術館の入場は一回限り!?というから、ガイドブックの記述にも、ネットの情報にも卒倒しそうになった。そもそも、あれは何度でも、自由に出入り可能だったからこそ、高くてもパスを買う価値があったのだ。だが今はそれがなくなった。それに、コロナ禍後のルーブル美術館では、以前も朝早くから長蛇の列ができていたが、現在では予約をしていても、それなりに待たされるらしい。思えば、いつも私は一日を美術館の中で過ごし、館内にあるレストランで昼食を食べていた。そうなると、当然、パリの街中にまではなかなか目が向かない。もちろん、初めてパリに行った時は見るもの聞くもの、そのすべてが珍しく新鮮で、魅力的だった。スーパーマーケットでさえ例外ではなく、あたかもそれが名所でもあるがごとく、興味津々で見て回った。だが、時が経つと、それが当たり前で、何の変哲もない風景に変わった。そうなると、もうスーパーには行く気がしなくなり、必需品の水や飲み物は街にある小さな食料品店で十分間に合った。

 パリに行くと、必ず、ルーブル美術館オルセー美術館の二つには行くことにしているが、別に特に絵画や彫刻に関心があるわけでもない。ただ、パリに行ってルーブルやオルセーに行かないのは、何か大事なことをし忘れているような気がするからだ。きっと今回も行くだろうが、それとは別に、少し観点を変えて見ようかと思っている。フライトが機内泊であることを忘れたせいで、幸か不幸か、サンジェルマンデプレの高いホテルに泊まることになった。考えてみると、そこはバスの車内からしか見たことがない地域で、見る限り、人で賑わっていて、なんだかとても魅力的な場所だった。

 今回は自らそこに足を踏み入れて、ぶらぶらと散策し、街と人をウォッチングしようと思っている。そのための情報収集でとても役に立つのが、Googleの航空写真で、ひと昔前とは遥かに進化していることに驚く。例えば、昔、ロシアのエカテリーナ宮殿に行くバスの停留所と宮殿までの道のりが何度行っても、分からなくて、行く度に迷っていた。それで、Googleの航空写真で見てみると一目瞭然、いつも停留所の前には黄色い塀があるのだが、その色もはっきりと確認できた。それはそれはもう感動でしかないのだが、建物の名称やバス停については何の言及もなかった。

 だが、現在のGoogleの地図の「レイヤー」というアイコンをクリックすると、パリでの宿泊先のホテル付近に何があるかが手に取るようにわかる。例えば、ユニクロもあるし、スーパーだって近くにある。飲食店の名称はもちろん表示されていて、予約のアイコンもあり、すぐに繋がることができる。なんて便利なのだろう。家に居ながらにして臨場感たっぷりで、以前のように熱心に検索する必要もない。見ているだけで、気分は現地に行ったつもりになり、見ているだけで楽しい。いや、正確に言うとそうではなく、行く予定があるからこそ、もうすぐ現実が目の前にあるからこそ余計に心が浮き立つのだ。考えてみると、パリでの滞在はいつだってせわしなく、何かに追いかけられている気がする、その何かとは、ズバリ、時間で、要するに、ホテル代が高すぎてゆっくりすることができないのだ。その点において、Googleの航空写真は私の心強い味方となってくれそうだ。

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