人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

顧客が何でもやる時代

どうやって持ち帰ろうか、考えてしまうのは私だけ?

 最近私は身体の冷えが気になっている。外の寒さは歩いていれば身体はそれなりに温まるので気にならない。でも家での、特に布団の中に居ても身体が冷たくなるのは耐えがたい。それで、今までたいしてその効果を信じていなかった断熱シートを近所にあるオリンピックに行って買ってきた。板の間に断熱シートを敷いてから、その上に布団を敷いてみるが、残念なことにたいして効果は実感できなかった。それで今度はじかに断熱シートを敷くのではなくて、もう使わなくなった敷毛布を敷いてからシートを敷き、その上に布団を敷くと、嘘のように身体がポカポカしてきた。これで断熱シートの効果を身をもって証明できた。だが、湯冷めして冷え切った身体を温めるまでには至らない。何かいい方法はないかと、無い頭を悩ます日々は続いている。

 それはさておき、気になるのは店で断熱シートをレジに持って行った時のことだ。レジでお金を払う時、店員さんに「袋はどうしますか」と聞かれたので、「そのままでいいです」と答える。正直言って、断熱シートは軽いので、そのまま抱きかかえて持ち帰ることもできる。袋に入れてもらった方が持ち帰るには便利かもしれないが、実際にはそう簡単なことではない。大きな袋を引きずらないように持ち帰らなかればならない。そういう場面では以前なら、店員さんが持ち歩きしやすいように、ビニールひもをかけてくれて、緑の取っ手を付けてくれていた。だが、現在ではそういうサービスはしなくなった。そう言う手間暇がかかることはすべて、お客の手に委ねられたと言うわけだ。

 私が行く店はそれまで1階と2階にあったレジを一つに減らして、会計は1階のみになった。その結果お客が1階のレジに集中するのは避けられないが、お客ひとりに対応する時間は天文学的に少なくなったはずだ。なぜなら袋の利用の有無を聞いて、会計するだけでいいからだ。たとえその商品が大物であっても,お客がどうやって持ち帰るかなんてことは気にしなくてよくなったのだから。そんな面倒なことは商品を買ったお客自らが心配すればいいだけのことなのだ。

 さて断熱シートを買った私は、そのまま持ち帰るとやはり邪魔で、帰りにスーパーで買い物するのに不便だと考えた。それでレジの向こうにちゃんと用意してあるコーナーに行ってビニールひもで紐かけをして、持ち歩きしやすいように緑の取っ手を付けた。実はこのやり方は以前ゴミ箱を買った時に店員さんがやってくれた方法だった。ゴミ箱と言っても普通のパット見てすぐごみ箱とわかる代物ではなくて、細長い箱でしゃれたインテリアのようにも見える商品だった。押せば扉が開くようになっていて,2段になっているので使いやすい。パッキンも付いているので外に匂いが漏れることもないという優れものだった。

 なので、私がそのごみ箱に一目ぼれする前に、先客がちゃんと居て、ゴミ箱を舐めまわすように見ながら、「これいいねえ」と言い合っていた。若いカップルが今にも買わんばかりの熱視線をそのごみ箱に注いでいたのだが、決断できずにいた。何がいけないのか、どうして躊躇するのかと言うと、それは値段が高すぎるらしい。ゴミ箱に5千円も出すのは彼らの価値観が許さないらしいのだ。一方の私ときたら、そんなめんどくさいポリシーなど一切持ち合わせていないので、欲しいものなら少々高くても買う気満々だった。二人はしばらくの間ごみ箱を買おうか買うまいか迷っていたが、「もう少し安かったら買うのになあ」と残念そうに呟きながらその場を去って行った。

 考えてみると、今までずいぶんと店員さんに面倒なことをやって貰っていたものだ。まあ、当たり前だと思えばそれまでのことだが、こんどはその手間のかかる仕事は私たちお客に託されたのだ。日常生活に不可欠な商品にはマイバックに入りきらないものだって沢山ある。持ち帰るのは大変そう、かと言って配達してもらえば送料がかかってしまう。ちなみに以前、羽毛布団を買った時の配送料金は800円だった。となると、気軽に「配達してください」とも言えないので、自力で持ち帰る方法はない物かと無い知恵を絞ることになる、もちろんその商品を買う前からである。

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