人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

雨の日にヘビを思い出す

今週のお題「雨の日の過ごし方」

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 ヘビが逃げ出したニュースで子供の頃を思い出して

 毎朝、散歩をしていると、たまに”赤い人”に出会うことがあります。赤い人とは、長身で赤いトレーニングウェアを着て、ランニングしている外人の男性のことです。不思議な人で、家の近くで出会った時は、いつもスマホを見ながら歩いています。いったいどこに住んでいるのか、何をしている人なのか、気になりますが、その辺でやめておきます。気になると言えば、最近はテレビでニシキヘビが逃げ出したニュースが話題になっています。アパートでこっそり全長3メートルのヘビを飼っていたなんて、逃げ出したからこそ分かったのです。どう考えても、もし自分が隣人だったらと思うとぞっとしてしまいます。警察の人たちが懸命に捜索したのに見つからないので、捜索打ち切りになったと聞いて、これからどうなるのと戸惑っていました。そしたら、昨日のニュースでアパートの屋根裏に潜んでいたのを爬虫類の専門家が見つけたというのです。ヘビはそんなには遠くに逃げない生き物だとか、ともかく見つかってよかったとホッとしました。

 考えてみると、子供の頃はヘビにはたまに出会っていました。出会っていたと言っても、ヘビはいつも突然姿を現して、こそこそと逃げて行きました。見渡す限り田んぼや畑しかない田舎で、道を歩いていたら、草むらにヘビが逃げ込むのを見ました。あるいは、畑で農作業の手伝いをしていて、すぐ側にヘビがいるのに気づいてギョッとしていたら、あちらは人間が怖いらしく素早く姿を消しました。もう微かな記憶しかないのですが、いつだってヘビは茶色い色をしていた気がします。

 あの頃、男の子たちの間ではヘビの抜け殻を捜すのが流行っていました。私の家の畑は火葬場のすぐ側にあったのですが、その近くの草むらで抜け殻を見つけたことがありました。一見、ポリエステルでできているかのような白い独特の模様を見ながら、ただ不思議に思っただけでした。男の子たちが言うのは、ヘビの抜け殻をポケットに入れておくとお金持ちになれるのだそうです。誰がそんなことを言ったのか、俄かには信じられないことですが、あの頃は遊び半分でそう信じていたのです。事実、彼らのひとりはズボンのポケットからヘビの抜け殻を出して、みんなに見せびらかしていました。でも、私にとってヘビは気持ち悪いだけだったので、抜け殻の何がそんなにいいのか、到底理解できませんでした。

 以前、朝日新聞の『ひととき』欄に80歳の女性の方の投書が載っていました。なんとそこには「ヘビは怖くない」と書いてあったので仰天してしまいました。その方は自分の家の庭でヘビと愛犬が対峙しているのを目撃したのです。でもパニックになることはありませんでした。ヘビの性格を熟知しているので、慌てることなく犬をなだめて事なきを得たそうです。ヘビは普通自分からは攻撃を仕掛けることはないのに、犬が威嚇したせいでその気になったというのです。緑がかった茶色のヘビはその方のとっさの機転のおかげで戦わずに済んだのでした。ガマガエルよりまだヘビの方がまだましだというその方に絶句しながらも、その方の対応力に感心したのです。

 思えば、もう長いこと野生のヘビを見たことはありません。ヘビどころかトカゲすら見たことがないことに改めて気づかされました。以前田舎に親戚の子が遊びに来ていました。お盆なので親についてきたのですが、その子の目的は別のところにありました。私にとってはトカゲもヤモリもたいして変わりなく、区別などできないのですが、爬虫類を探しに彼はやって来たらしいのです。中学生で、見たところ優しそうでおとなしい彼は、都心のマンションに住んでトカゲを飼っていました。詳しく聞いてみると、そのトカゲのエサはコオロギで、わざわざ買ってくるのだと聞いて大変だなあと思ったものです。彼は朝食を済ませると、家族の運転する車で出かけて行き、夕方になるまで帰っては来ませんでした。お盆の3日間の間、懸命にお目当ての爬虫類を探し、収穫があったのか満足して帰って行きました。それまでペットというのは、たいていは犬か猫ぐらいしか思い浮かびませんでした。でも、自分の身近に、それも親戚の子が爬虫類好きだなんて知ってしまって、世の中はこれだから面白いと思ったのです。

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