人生は旅

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わたしの部屋を探す場所

今週のお題「わたしの部屋」

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貴方にとって最高の部屋を探します!?

 若い頃、私は自分にとってのお城、つまり文字通りのわたしの部屋を探していた。それを手助けしてくれるのは、もちろん不動産屋さんだった。狭くてもいいから、まあまあ日当たりがよくて、身の丈に合った家賃ならば贅沢は言わない。実際、今まで住んだどの部屋にもとても満足していた。なぜ、こんな話をするかというと、NHKのドラマ「正直不動産」を見たからだ。山下智久さんが常に会社で営業成績一位の敏腕社員を演じている。陰では彼はライアー永瀬と呼ばれており、嘘でお客をうまく丸め込んで契約を取っている。彼の口から出るのは100%嘘で、その言葉の巧みさでお客は翻弄されてしまう。だが、ある日突然、彼は嘘が付けなくなり、お客の前で本当のことしか言えなくなる別人になってしまう。

 その結果、営業成績一位を誇った彼があろうことか低空飛行の憂き目にあう。だが、視聴者としては、本音と建前の違いが分かって実に面白い。「お客様のために」は裏返すと「自分のために」であり、「会社のために」なのだ。「お得な物件ですよ」はズバリ会社の利益になると言うこと。それでもお客には「こんないい物件に出会えてついてる」だの「こちらの不動産屋にお願いしてよかった」だのと思わせて、おまけに感謝の言葉まで言わせてしまう。お客をいい気持ちにさせて帰らせるのが自分たちの役目なのだと心得ている。真実を知らせたら、誰だって怒る。だからお客は知らなくていいことは知る必要はないのだ。不動産屋もお客も双方ともに幸せになれるだなんて、幻想にすぎないのだとわかる。

 ドラマには永瀬が教育を任された新入社員の女性が登場し、彼女のモットーは「お客様第一で誠心誠意で接客を」だった。だが、現実には彼女の気持ちは空回りし、契約がなかなか取れない。それは顧客第一を考えるあまり、自分の立場をすっかり忘れていたからだ。つまり、彼女は顧客を友だちか何かのように勘違いし、契約を取るというミッションを果たそうとしなかった。例えば、2DKで12万円の部屋を探しているお客に、13万円の部屋を勧める場合、彼女のような新人とベテランでは応対の仕方がまるっきり違った。新人は「一万円ほど高いのですが」と申し訳なさそうに言うから、お客の方もテンションが下がるのは当然だ。一方のベテランは、「あの辺りの相場は15万円なので、とてもお得な物件ですよ」と客のテンションを反対にあげてしまう。

 自分が客の立場になったら、どちらが気持ちいいかは想像すれば歴然としている。物件の値段は相変わらずの13万円で、一円も安くなっていないのにも関わらず、客はなんだか得をした気分にさせられる。言葉一つで客の気持ちはどうにでもなるのだ。これが「客を騙す」ことなのか、でもベテラン社員は何一つ嘘は言っていない。もちろん彼の心の中にあるのは客の満足よりも契約を成立させることなのは言うまでもない。ただ、彼はどう説明すれば客が納得するかをちゃんと知っている。その点では彼は客の身になって接客をしているのだ。だがあくまでビジネスと割り切って、心まで客に寄り添うようなことはしないのだ。

 新人はこれから良心が咎めない程度の嘘?ではなくてお客を納得させる方法を学ばなければならない。果たして、自分がお客の役に立っているという充実感とお客の満足度とは両立するのだろうか。最高の部屋を提供したいという彼女の願いは叶うのか、あるいはそんなことは不動産業界においては夢のまた夢なのか、これからの展開が楽しみだ。ここまで書いてきて、ふと友人のことを思いだした。3月5日に部屋を退去したのに、未だに敷金を払ってもらっていない。以前不動産屋に電話をしたら、見積もりがまだだとかなんとか言われて相手にされなかった友人のことだ。彼女によると、先日不動産屋から電話があったので何かと思ったら、聞いて仰天した。なんと大家がアパートの玄関の鍵についている飾りが緩くなっていることにクレームをつけているのだ。変な飾りは確かに緩くなっていたが、鍵そのものには何の問題もないのに。

 大家のOKが出ないので、敷金が支払われないのも一因なのだが、それより業者の見積もりがなかなか出ないことの方が問題だ。つまり、次の人を入れるのにどれだけお金がかかるかによって、敷金をいくらにするか大家が決めるのだ。こんな仕組みになっているのだから、敷金の支払いが遅れるのも無理はない。

mikonacolon