人生は旅

人生も旅もトラブルの連続、だからこそ‘’今‘’を大切にしたい

相手をリスペクトする

リスペクトって、どういう意味なの?

 最近テレビを見ていて、感じるのは、やたら皆がリスペクトするという言葉を使っているということだ。映画の話題かなんかで、ゲストの俳優が共演した大物俳優に対してとても「リスペクト」している方ですと興奮気味に話したりする。日本語で言えばいいのに、どうやら英語のリスペクトの方が感覚的にしっくりくるらしい。だが、視聴者である私は、リスペクトの意味するものが何なのか、わからない。まあ、英語でrespectと言えば、尊敬すると、学校で習ったし、また辞書にもちゃんと載っている。だが、尊敬すると一口に言っても、それは先生や目上の人、あるいは両親を敬う気持ちぐらいしか、思いつかない。それはあくまで、上っ面だけの意味であって、その単語の本来の意味なんて、誰も教えてくれなかったから知る由もなかった。現在までいい年の大人になっても、ずうっとそれくらいのものだと思って生きて来たし、何らかの疑問も持たずにいた。

 だが、先日、大西泰斗先生のラジオ英会話を聞いていて、目から鱗だった。先生はrespectという動詞のもつ本来の意味を懇切丁寧に説明してくれた。実を言うと、最初は先生の言おうとしていることの意味が分からなくて、半信半疑だった。なぜなら、番組の冒頭で「相手をリスペクトするのは、コミュミニケーションの基本です」との発言があったからで、こちらは困惑するだけだった。よく話を聞いてみると、リスペクトは一言で言うと、「相手を尊重する」という意味なのだと分かって、なるほどそうだったのかと膝を打った。例えば、長年ずうっとそうだと思い込んでいた「尊敬する」に値する動詞には、admire(賞賛する)があるし、それにこの動詞respectは、目上の人、年上や権威のある人、親などを尊敬する、仰ぎ見るという意味でもない。それにふさわしい意味を持つのは look up to なので。

 つまり、respect という動詞の持つ本来の意味は、たとえ、意見が違っていても、たとえ、好きでなくても、その価値を認め、素晴らしいものだと尊重する、一目置く、認めるということなのだ。正直言って、この何ともわかりやすい説明を聞いてうなずきながら、私は頭がくらくらした。特に「意見が違っていても」とか、「好きでなくても」というような寛容な精神に満ちた部分においては少し違和感も抱いた。だいたいが、今までそんなことを考えたこともなかったことに愕然とし、ネイティブスピーカーはrespectの持つ意味を分かった上で使っていたのだと思うと溜息しか出ない。私だけかもしれないが、そんなことも知らなかった自分が恥ずかしい。でもそれは仕方がないことだとも思う、なぜかってそれは誰もそんなことを教えてくれる人はいなかったし、ネイティブスピーカーの心の動きよりも、日本語訳された英文をそのまま覚えるのに必死だったから。

 そして、暗記すれば、何とか会話は成り立つと信じ込んでいたからで、ネイティブがどんなふうに思って使っているかなんてことには考えが及ばなかった。大西先生は番組の中で、「単語を日本語訳だけで覚えていたら、使い物にはなりませんよ」と口を酸っぱくして仰る。要するに、単語の持つ本来の意味を熟知しなければ、すぐに壁にぶち当たって、困ってしまうと言いたいのだ。そうならないためにはどうするか、それには単語の持つ意味をイメージでとらえることが大切で、身体でだけでなく、心にもしっかりと馴染ませる必要がある。現在まで、ラジオ英会話を視聴して、これまでの自分は何一つ自分が使っている言葉の持つ意味を分かっていないのによくもまあ、恥も外聞もなく使ってきたものだなあと思う。恥のかきまくりだ。だが、以前よりは少しはましになって、いや、それよりも毎日が新しいことの発見の連続であることの方が楽しい。

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